新型コロナウイルスの感染防止対策を万全に施した上でJ1リーグが先週末に開幕した。サンフレッチェ広島はホームのエディオンスタジアム広島でベガルタ仙台と対戦。注目度の高さを示すように、コロナ禍ながら会場には8820人の観客が詰めかけた。

決定力の高さを見せたジュニオール・サントス選手。試合後には「良いチームはあるが、怖いチームは1チームもないと思っています」とのコメントを残した。

 注目のスタメンは3バックから4バックへのシステム変更もあり、1トップにドウグラス・ヴィエイラ。トップ下に浅野雄也、ジュニオール・サントス、森島司。ボランチに青山敏弘、川辺駿。後ろの4枚は野上結貴、荒木隼人、佐々木翔、東俊希。そしてGKは林卓人ではなく大迫敬介が起用された。

 試合は前半から両サイドバックの東、野上が積極的に攻撃参加し、守備でも前線からのプレスで仙台からボールを奪うなど、選手たちは城福浩監督が目指す戦いをピッチ上で体現していった。その後も27分に相手DFが退場となり、33分には新加入のFW・サントスがゴールを決めるなど、サンフレッチェが圧倒的に優位な立場で試合を進めていった。

 ところが嫌な空気が流れ始めたのが後半だ。幾度も決定機をつくりながら、相手GKのファインセーブなどに阻まれ追加点を奪うことができない。フラストレーションが溜まる展開のなか、試合終了間際の90分に同点ゴールを決められサンフレッチェが土壇場で勝ち点3を逃すこととなった。

「コロナ禍でリーグ戦を開幕できたこと、この感謝の意を表すには勝ち点3をプレゼントすることだと思っていた。それができず本当に残念。難しいシチュエーションになったが、2点目を取らないとこういうことが起こり得ると思い知らされた」

 城福浩監督が振り返ったように、チャンスを逃し続けると得てしてこういう結果が訪れるのがサッカーだ。システム変更から日が浅いこともあり一概には言えないが、現状では4バック採用による上積みを見せるまでには至らなかった。チームを統率するキャプテンの佐々木翔も、現状では手応えを感じることはできなかったという。

「相手が早い時間に一人退場になって11対11でやれていないので、(4バックに関しては)分からない部分が多いです。ただ引き分けで学ばされたと言いますか1得点しかできなかった部分、最後の締め方というものを全員で取り組んでいかなければいけません」

 ルヴァン杯も含めると、今季も超過密日程のなかリーグ戦は続いていく。実際、下を向く暇もなく3月3日にはホームで清水エスパルスとの一戦(ルヴァン杯グループステージ)が控えている。新システムのさらなる浸透、決定力の向上など課題は少なくないが、最低限の仕事とも言える勝ち点1を積み上げたと思って気持ちも新たに前に進んでいくしかない。