◆九里が気迫の300球超え

 森下と同様に期待を集めているのが九里ですよね。第1クール最終日の2月4日に、347球を投げ込むという気迫を見せました。ここまで投げる投手は近年、見たことがないですけど、毎年のキャンプを見ていると九里が一番気持ちを込めて球数を投げている印象があります。今年も先発ローテーションの軸として投げる、という強い気持ちが感じられますよね。

 近年ここまでブルペンで投げ込む投手はいませんが、私個人としては納得できる部分もあります。球数を投げることによって、本人にしか分からない感覚というものがあるんです。相当疲れたと思いますが、ある一定のラインを超えると普段とは違う感覚が出てきますし、投げ込む中で何かしらのヒントをつかんだと思います。力を抜いてもタイミングなどが合えば、しっかりとした球が投げられるということを今回の投げ込みで実感できた部分もあると思いますね。

 良い投げ方、良いタイミングで投げれば、球数を多く投げてもそれほど疲れを感じません。しかしながら近年の投手は、その感覚が分かるほどの投げ込みは行っていません。もちろん肩や肘への負担を考えれば誰にでも適用できる練習法ではないですが、九里にとってはベストに近い調整法なのかなと思いますね。