リーグ連覇を成し遂げた2017年以来、4年ぶりに河田雄祐コーチがカープに復帰した。視線の先に見据えるのは強いカープの復活とV奪還。ヘッドコーチに就任した熱き男の、秘めたる決意に迫る。

河田ヘッドコーチが攻守のキーマンとして名前を挙げた菊池涼介選手

◆チーム浮上の鍵を握るタナキクコンビの復活

─佐々岡カープ1年目は52勝56敗12分で2年連続のBクラスに終わりました。昨年のカープの戦いをヤクルトのコーチとしてどう見ていましたか

 「昨年は辛かったと思うんですよ。シーズン序盤は勝ち試合を任せられる投手が決まっていませんでしたし、先発がそろっているかといえばそうでもなかった。特に、エースとして期待していた(大瀬良)大地の離脱は誤算だったと思いますよ。やっぱり投手陣がそろっていないと、シーズンを戦っていくのはきついです。報道では、バントが多すぎるなど作戦面の批判もありましたが、昨年に限ってはそういうところじゃないと思うんです。攻撃面に関しても、バントをしても打たせても得点が奪えない試合が前半戦は続いていたはずです。ただ、後半戦は、若い投手が先発としてゲームをつくり、リリーフでは、ケムナ(誠)、塹江(敦哉)、フランスアが頑張っていたから試合になっていたと思います。もちろんひっくり返される試合もありましたが、勝つための形が決まったことで、カープらしい試合も増えていました。とはいえ、佐々岡監督にとっては苦しいシーズンだったと思うので、昨年の結果を踏まえて、いろいろ考えていきたいと思っています」

─佐々岡監督と河田ヘッドコーチは同学年です。河田ヘッドコーチから見た、佐々岡監督の魅力を教えてください。

 「テレビを通して監督を見ているファンのみなさんのなかには、もの静かで堅い感じの人柄を想像される人がいるかもしれませんが、監督は人と話すのが好きで笑顔を絶やさない親しみやすい人柄です。今年は佐々岡監督にしかめっ面ばかりさせないようにしたいですね」

─報道などを見ていると、田中広輔選手と菊池涼介選手の2人の復活が浮上の鍵を握っていると口にされているのをよく耳にします。

 「2人とも今シーズンで32歳です。体力が落ちつつあるなかで、一年間を通して二遊間を守るのはきついところもあるでしょうが、僕から言わせてもらうと、まだ32歳。老け込む年ではありません。まだまだ頑張ってほしいし、あいつらだってまだ頑張れると思っているはずです。特に昨年の広輔は、右膝の手術明けで、リハビリをしながらという面があったでしょうが、今年は膝の状態が良いみたいなので楽しみにしています。やっぱり膝が悪いと、走ることができないし、野手としてのスキルを上げることもできないので、一昨年と昨年はもどかしい思いがあったんじゃないかと思います。その思いを今年は発散してほしいですね」

─田中選手、菊池選手は、攻撃面・守備面のキーマンとして考えておられますか?

 「そうですね、キーマンだと思っています。上位の2人が塁に出てお膳立てをして、返すべき人が返すのがカープの目指すべき野球。今年は、彼らに数多く塁に出てもらって、チームに勢いを与えてもらいたいですね」

─3連覇を果たしたときの打線を目指していきたいということですか?

 「現時点ではそれが一番良いと思っています。広輔もキクも考えて野球ができる選手なので、2人が1番と2番にいてくれたらチームに与える影響も大きいです。もちろんこれからの結果次第ですが、個人的には、タナキクで1番2番に座ってほしいですね」