新型コロナウイルスの終息が未だ見えないなか、プロ野球の春季キャンプが無事に終了した。2月中の練習試合とは違って、オープン戦も観客を入れる形で行われている。ここでは不定期ながら、コロナ禍に揺れた“1年前”のカープを振り返ってみたい。

約1年前のオープン戦でも、西武を相手に三塁を踏ませない好投(5回8奪三振)を見せていた森下暢仁投手。

 新型コロナウイルスの影響で予定より1週間遅れになったとはいえ、今季は開催地の状況に応じて観客数を制限しながらもオープン戦が有観客試合で開催されている。しかし昨年は2月26日の段階で、未消化だったオープン戦72試合の無観客での実施が決定。静寂が包み込む異様な状況下で、選手たちは開幕に向けての調整を余儀なくされていた。

 ただ、そんな中でも3月8日にはルーキーの森下暢仁が2019年パ・リーグ覇者の西武を相手に、5回3安打無失点と好投。オープン戦3試合で11イニングを投げ、与四死球はわずかに3つ。快投に次ぐ快投で開幕ローテーション入りをほぼ当確させていた。

 ところが3月9日に行われた第2回『新型コロナウイルス対策連絡会議』の提言を受け、12球団代表者会議で開幕の延期が正式に決定。2020年度シーズンの公式戦開幕を、4月10日以降で検討することがアナウンスされた。プロ野球の開幕が延期されるのは、東日本大震災が起こった2011年以来、史上2度目のことである。

 3月12日には4月10日以降の開幕に加え、従来の公式戦を対戦カードはそのままで無観客の練習試合とすることを発表。日を追うごとに新型コロナがプロ野球界に及ぼす影響も甚大なものとなっていた。

 そんななか、カープは5勝5敗2分の6位でオープン戦の全日程を終了。チーム打率は.271ながら、チーム防御率が12球団ワーストの4・71に沈むなど、その後の前途多難なシーズンを予感させる内容となっていた。