サンフレッチェ広島がリーグ開幕から続いた過密日程を、3勝3分の無敗で乗り切った。序盤は追いつかれての引き分け試合が散見したが、試合を重ねるごとに内容も向上。サンフレッチェOBの吉田安孝氏が、開幕1カ月を総括する。

今季は4バックを採用しているサンフレッチェ。佐々木翔を中心に、守備も安定感を増してきた。

 開幕から数試合は、先制するものの後半に追いつかれて引き分けという試合が続きました。ルヴァン杯の清水戦もスコアレスドローでしたし、当時はやや重い空気が流れていたように思います。ただ、新たなフォーメーションにチャレンジする中で、負けなしという最低限の結果は残していました。そこはポジティブな要素ですし、全てをマイナスに捉える必要もないと思います。

 過密日程であることを考えると、一つの結果を引きずってばかりもいられません。その意味ではルヴァン杯でも良いゲームができているのは大きいですし、そこで良いアピールをしたエゼキエウや藤井をすぐにリーグ戦でスタメン起用した城福監督の采配も見事だと思います。

 いずれにせよ序盤戦の数試合は本当に重要になります。今年も川崎が抜けた存在かもしれませんが、その他のチームは本当にどうなるか分かりません。全試合が厳しい戦いになりますし、少しでも気を抜いたらすぐに降格圏内に取り込まれてしまうでしょう。一つの試合結果に一喜一憂するのではなく、試合で見えた課題を丁寧に修正しながら、確実に勝ち点を積み上げていってほしいですね。

 あと勝ち点という部分で言えば、重要になるのがセットプレーだと思います。野球で言えばホームラン。長いシーズンを戦う上で、そういう飛び道具は非常に大事になってきます。その意味では序盤からセットプレーから得点も生まれていますし、そこは今後も意識して選手間でのイメージ共有を常に図ってほしいですね。

 もう一つ今季の特徴を挙げるとすればVARの導入でしょう。昨季も給水タイムの中断でゲームの流れが変わるシーンが多々ありました。中断の何分かでリズムを崩さないように、しっかりと集中力を保つことが重要になってきます。横浜FM戦ではゴールが認められたので良かったですが、試合の流れを止められる上に判定が覆る可能性も十分あるわけです。その辺りの対策も、事前にチーム内で話し合っておくべきでしょう。

 最後になりますが、新たに発足した女子プロチームの名称が『サンフレッチェ広島レジーナ』に決定しました。近賀ゆかり選手など知名度のある選手も来てくれましたし、紫のユニホームでWEリーグを盛り上げてほしいと思います。4年後の新スタジアム建設に向けて、男女両方で広島を盛り上げてくれることを期待しましょう!