正隨優弥がウエスタン・リーグで好調をキープしている。4月11日までの時点で全試合(13試合)に出場し、49打数15安打、打点10、2本塁打、打率.306という数字をマーク。打率、長打率、打点、塁打、二塁打はリーグ3位以内と、ここまでは文句なしの成績を残している。

ウエスタン・リーグながら規定打席到達者の中でリーグ上位の成績を残している正隨優弥選手。

 正隨はアマ球界の名門である大阪桐蔭高、亜細亜大を経て、地元球団であるカープに入団。即戦力として期待されたが、プロ1年目の2019年シーズンは一軍出場がなく、二軍で105試合に出場。6本塁打を放ったものの、打率.208と確実性に課題を残すシーズンとなった。

 しかし巻き返しを期して臨んだ2年目は、春季キャンプの第1クールから柵越えの打球を連発。右方向への一発をマークするなど、確かな成長の跡を見せつけた。惜しくも開幕一軍とはならなかったが、二軍でコンスタントに試合出場を続け、二軍首脳陣からの評価も日に日に高まっていった。

 昨季中には体調を崩し10日前後、チームから離脱した時期があった。若い選手にとっては『離脱=アピールの場を失う』ことでもあるが、正隨はこの離脱をポジティブに捉え自分と向き合う時間を設けた。

「他人の真似をすると徹底的に崩れるタイプ」との自己分析から、大学時代も含めて良い打球を打っていたときの打撃フォームを映像で徹底的に再確認。またシーズンオフには大阪桐蔭高の先輩でもある中田翔(日本ハム)と自主トレを共にするなど、あらゆる角度から自らの打撃を見直していった。

 その効果もあり、昨年の9月6日には初の一軍昇格を勝ち取った。プロ初打席は併殺打に倒れたものの、9月18日のヤクルト戦ではバックスクリーン右に特大アーチを叩き込んだ。プロ4打席目でようやく出た待望のプロ初安打が、同時にプロ初ホームランというド派手なデビューを飾ってみせた。

 昨季、一軍で8打席を経験し、放った安打はこのホームランのみ。今季こそは継続的に一軍帯同を果たし、夜空を切り裂く大アーチを量産したい。