4月14日にJ1リーグ第19節が行われ、サンフレッチェ広島がアウェーで名古屋グランパスと対戦。堅守の名古屋ゴールを割ることができず、今季初の2連敗となった。

甲府からサンフレッチェに完全移籍した2017年。移籍1年目からJ1残留を決めるゴールを決めるなど、印象に残るプレーを数多く残した稲垣祥選手。

 今季の名古屋は持ち味の“堅守”が冴え渡り、連続無失点試合、連続無失点時間の記録を軒並み更新している。8勝2分(4月14日現在)という戦績もさることながら、10試合で失点はわずかに1。その好調の要因の一つとなっているのが、2020年にサンフレッチェから完全移籍した稲垣祥の存在だろう。

 今年3月にはサンフレッチェの川辺駿と同じく『国際親善試合』及び『2022FIFAワールドカップカタールアジア2次予選兼AFCアジアカップ中国2023予選』の日本代表メンバーに初選出。ここでは攻守両面で輝きを見せるリーグ屈指のボランチの、サンフレッチェ時代のインタビューを2日連続で公開する。
(『広島アスリートマガジン』2019年12月号)

◆驚異の走行距離でサンフレッチェの中盤を統率

―今季(2019年シーズン)は右肩鎖関節亜脱臼の影響で開幕戦には間に合いませんでした。

 「プロ生活6年目でそういうケガでの離脱が初めてだったので、慣れない部分が多かったです。自分がサッカーをしていない状況で、周りが常に練習しているという環境に最初は違和感や焦りを感じたときもありました。でも一歩引いて客観的に自分の状況、チームの状況を見ることができましたし、スタッフがこういうところでも仕事をしてくれているんだとか、いろんなところを見られたことはすごく良かったです。ケガをすることで改めて周囲に支えられているということを再確認できましたし、選手としても人としても良かったと思います。全体の器が広がった感じが今でもするので」

―4月にベンチ入りは果たしましたけど、リーグ戦の方はすぐにスタメン復帰とはなりませんでした。

 「自分自身に目を向けていましたしACLに出場しながら手応えも感じていたので、リーグ戦でも使ってもらえればチームに貢献できると感じていました。なので、その時点では焦りやもどかしさはなかったです。時を待つではないですけど、今は自分のやれることをやるという思いで日々を過ごしていたので」