プロ1年目の昨季は二軍でチーム2位となる本塁打を記録した木下元秀。打率は1割台に低迷したものの、全打席で本塁打を狙うという破天荒な思考で長距離砲としての能力に磨きをかけていった。

全打席で本塁打を狙っているという木下元秀選手。今季は確実性も増してきた。

「トータルで考えたら、まだまだですね。シーズン後半に納得できる長打も出始めましたけど、狙った球に対して捉える率が低すぎたので、そこが最大の課題です」

 打率が示すように、昨季は確実性という意味では大きな課題が残った。しかし、今季はウエスタン・リーグで打率.362(47打数17安打、4月21日現在)をマーク。規定打席未到達ながら、確かな成長を感じさせている。

 シーズン前にはオリックスの吉田正尚らと合同自主トレを敢行した。吉田と言えば率も残せる長距離砲だけに、木下にとってはまさに生きた教材と言える存在だ。本塁打は4月15日に放った1本(ウエスタン、対中日戦)にとどまっているが、現在の状態を維持するようなら自ずと本数も伸びてくるだろう。

「(合同自主トレで)いろいろ学ばせてもらったので、すごく楽しかったですし、ひと回りくらいは成長したんじゃないかと思います(笑)。タイミングの取り方だったり、今まで自分が考えたことがない、聞いたことがないようなことが出てきたので本当に合同自主トレに参加させてもらって良かったです」

 若手の台頭が目立つカープにあって、木下が今季目指すのは当然、支配下登録だ。二桁の番号を手に入れて、一軍の舞台に立つことを目標に掲げている。

「合同自主トレのときに吉田選手や西川(遥輝・日本ハム)選手と約束をしたんです。今年中に支配下登録されて一軍で初ヒットを打つと。支配下登録されないと一軍には絶対に上がれないので、まずはそこですね。絶対に達成したいと思います」

 現在つけている背番号『124』は、かつて大盛穂が背負っていたナンバーだ。育成の星とも言える男の背中を追い、次代の大砲候補が今日もバットを振り続ける。