開幕から活躍を続けている2年目の森下暢仁とルーキーの栗林良吏。2人が着実に結果を残す理由はなにか。19年間捕手として活躍したカープOBの石原慶幸氏に、捕手ならではの視点で両右腕の実力と魅力を分析してもらった。

◆一度バッテリーを組んでみたいと思わせる投手

昨年は期待を裏切らない投球で結果を残した森下暢仁投手。特に昨季終盤戦は、安定感抜群の投球を重ねてエース級の活躍をみせた。

 まず森下暢仁投手ですが、今シーズンは“ローテの頭”という重要な役割を担っています。

 もともとクレバーな投球ができる投手でしたが、今年はマウンドで醸し出す雰囲気の面でも昨年以上の落ち着きを感じますね。二桁勝利を達成し新人王を獲得した一年目の成績に満足することなく、向上心を持って新しいものを取り入れようとしている気持ちを感じるだけに、今年も結果を残してくれそうです。

 通常、投手が勝負球として使える球は1〜2種類。3種類あれば非常に優れた投手と言われますが、森下投手の場合は、ストレート、カットボール、カーブ、チェンジアップ、この4球種全てがカウントをとれる球にもなり、勝負球にもなります。それが森下投手の魅力ですし、ここが優れているからこそ、1年目から、誰もが認める成績を残せたのだと思います。

 捕手の視点で考えても、一度バッテリーを組んでみたいと思わせてくれる投手だと思います。コントロールが良くてストレートも力強い。あと個人的には曲がりの大きいカーブに魅力を感じていて、使ってみたい球種です。それに加えて、緩やかに落ちるチェンジアップもある。どんなリードになったかは分かりませんが、現役時代に一度受けてみたかった投手の1人ですね。

 先発ローテの柱となる投手だけに、当然相手チームも対抗策を練ってきます。試合で抑えられた投手に対しては、次の試合で攻略するため徹底的に研究されるのがプロの世界の定め。その厳しさが2年目のジンクスという言葉を生んだと思うのですが、森下投手はそういったマイナスな言葉は意識せず、とにかく自分の球を信じて投げていってもらいたいですね。そこをブレることなく続けていけば、2年目のシーズンも着実に結果を残せる投手だと思います。