今シーズン、1031日ぶりに一軍白星を挙げ、復活を果たした高橋昂也。2019年2月に左肘を手術し、1年以上にも及ぶ長いリハビリを過ごすなかで、どんな思いで野球、そして怪我と向き合ってきたかを本人の言葉と共に紹介する。

 

◆3年ぶりの一軍マウンド。結果にこだわって投げ抜く

――ウエスタン・リーグ開幕後は2試合連続で先発勝利。継続して結果が残っているだけに手応えもあるのでは?

「絶好調というわけでもないのですが、自分の納得のいく球を投げることができているのはいいことだと思っています。今の感触を忘れずに、投げ続けていきたいと思います」

――課題にされていた球速は、現段階では140キロ台前半が多いそうですが、この部分はどう捉えていますか?

「春季キャンプでは球速を意識して投げていましたが、シーズンが始まってからは、スピードはあまり気にしていません。周りからも「球速で抑える投手ではないよ」と言われたりもしますし、まずはコントロールを第一に考えています。ただ、もちろん現状の球速でいいとは思っていません。現状に満足してしまうと、どんどん落ちていってしまうと思うので、制球力を維持したうえで球速も上げていきたいと考えています」

――ケガから復帰し順調にステップアップを重ねられていますが、1年に及ぶリハビリ期間中は、先の見えない不安もあったと思います。その不安とはどう向き合ってこられたのでしょうか?

「マツダスタジアムで投げる自分の姿を想像しながら練習に取り組んできました。言いようのない不安があるなかで、目指 すものがないとリハビリもマンネリ化してしまうと思ったので、もう一度、一軍の舞台で活躍したいという強い気持ちを原動力にしてきました」

――リハビリ中は、たくさんの方の支えがあったと思います。

「そうですね。リハビリや練習に付き合ってくれたトレーナーさんやコーチの方を含め、いろんな人にお世話になりました」

――お世話になった方とのエピソードで思い出に残っていることはありますか?

「多くの方の力を借りてリハビリを進めましたが、ひとり名前をあげさせていただくなら、昨年までカープに在籍されていた小川(靖之)トレーナーとのやりとりが印象に残っています。毎日左肘の状態をみながらトレーニングを考えてくださり、今やっているトレーニングにどういった意味があるかも丁寧に教えてくれました。ときには練習したい気持ちをぶつけることもありましたが、そういう葛藤も受け止めてくださり、一緒に前を向いて歩んでくれました。また、自分が思っていることを、知識や年齢は関係なくしっかりと聞いてくださったこともうれしかったですね。迷惑もかけましたが、小川さんには本当にお世話になりました」

――長いリハビリを経て昨年9月5日のソフトバンク戦(二軍戦)に登板。実戦復帰を果たされました。

「いろいろな方から激励の言葉をもらいました。小川さんを含め、たくさんの方に支えてもらったからこそ辛いリハビリを乗り越えることができのたで、もう一度マウンドに戻ってくることができて本当に良かったです」

――一軍の先発ローテーション定着に向けて、どんな課題を持って取り組んでおられますか?

「実戦で投げると、良いところばかりではなく悪いところも見えてきます。その課題から目をそらさず、しっかりと自分のなかで消化して、良かったところは忘れずに継続し、逆に改善しないといけないところは次の試合で直せるように心がけています。あとは先ほども言いましたが、とにかく結果にこだわって投げていきたいと思っています」