新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨季は中止となった交流戦が、5月25日から開幕する。カープにとっては鬼門となるだけに、開幕までに一つでも多く借金を返済しておきたいところだ。ここでは多くの苦汁を味わった交流戦の歴史を4回にわたって回顧。最終回の今回は“平成の黄金期”を振り返る。

6月17日のオリックス戦(マツダスタジアム)でサヨナラ本塁打を放ちお立ち台に立つ鈴木誠也。その名を一気に全国へと広めた。

◆2016年・交流戦3位(18試合11勝6敗1分)【神ってる劇的弾でセ唯一の勝ち越し】

 ロッテ、ソフトバンク、日本ハム、楽天との4カードを終えた時点で借金1。2016年の交流戦も中盤までは厳しい戦いを強いられた。ところが終盤の2カードで、その印象は一変。第一歩となったのが6月14日の西武戦だ。

 コリジョンルール適用による初のサヨナラ勝ちで勢いを取り戻すと、そのまま西武を3タテ。そして直後のオリックス戦で、3戦連続での奇跡を起こすことになる。6月17日に鈴木誠也がサヨナラ本塁打を放ち7年ぶりの交流戦勝ち越しを決めると、翌日も劇的なサヨナラ弾を左中間に叩き込んだ。

 3戦目も試合を決める決勝弾を放ち、1996年の江藤智以来となる3試合連続決勝本塁打を達成。恐怖の6番打者の“神ってる”活躍で、チームはセ・リーグ唯一の勝ち越しを決めた。勢いはその後も続き、25年ぶりのリーグ優勝につながった。

◆2017年・交流戦2位(18試合12勝6敗)【投打の新星現れ、球団史上最高順位

 2017年の交流戦は、初戦から最高の入りを見せた。強力打線で知られる西武を相手に、薮田和樹が交流戦の開幕戦では球団史上初となる完封勝ちを記録。この一戦をキッカケに、先発ローテーションの一角に定着した。

 翌日も鈴木誠也が球団通算8000号のメモリアルアーチを放ち、チームは7連勝を達成。6月14日にはオリックス戦で前年の再現となるサヨナラ本塁打を放ち、交流戦単独首位に躍り出ると同時に、2年連続での交流戦勝ち越しを決めた。

 ロッテ戦では代打のバティスタが連日の号砲を放ち、分厚い打線をさらに強固なものにした。日本ハム戦は昨年の日本シリーズの借りを返すように、3連勝でリベンジを達成。6月18日のソフトバンク戦で惜敗し交流戦初優勝は叶わなかったが、球団史上最高順位となる2位で交流戦を終えた。