昨季、覚醒の兆しを見せた堂林翔太が、再び長いトンネルに迷い込んでいる。5月15日の時点で29試合に出場し、打撃成績は打率.184、打点4、本塁打0。昨季の開幕直後は打率4割前後を推移し、一時は首位打者にも立った男が、まるで別人のような成績にとどまっている。

昨季は8年ぶりに規定打席にも到達した堂林翔太選手。

 昨季はオープン戦から快音を響かせ、新型コロナウイルス感染拡大の影響で開幕が延期となっても好調を維持し続けた。そして迎えた6月19日、DeNAとの開幕戦で堂林は『7番・一塁』で出場を果たし、2014年以来6年ぶりとなる開幕スタメンを勝ち取った。

 開幕戦は4打数無安打に終わり結果を残せなかったが、佐々岡監督は、翌日の相手先発が右腕のピープルズにも関わらず、堂林を再び『7番・一塁』でスタメン起用した。

 そしてこの試合では、5打数4安打の大暴れで開幕2連勝に貢献。8月、9月にやや打撃成績を落としたものの、10月から再び上昇気流に乗り2012年と同じ自己最多タイとなる14本塁打、打点数(58)と打率(.279)は自己最多を更新する成績を残してみせた。

「『今シーズンがダメだったら先はない』という強い覚悟でシーズンに入りましたし、いつ開幕するかという難しい状況でしたけど、その中で気持ちも変わらず、うまく調整することができたと思います。その心の在り方が、今シーズンの成績につながったんだと思います。まだまだ課題も多いですけど、この先につながる課題が見えてきたシーズンでもありましたし、同時に自分の良さを出すことができたシーズンだったと思います」(『広島アスリートマガジン』2020年12月号)

 背水の陣で臨んだシーズンで覚醒を印象付け、今季は開幕スタメン候補として一軍春季キャンプに参加した。ところが3月中旬にコンディション不良で離脱したあたりから雲行きがあやしくなった。

 7試合ぶりの実戦復帰戦(オープン戦、対ソフトバンク)で全快をアピールしたものの、開幕3戦目以降からは状態が下降。そこから現在までは打率が2割前後を推移する状況となっている。

 昨季、チームトップの17盗塁をマークしているように、堂林が復調すればカープのお家芸でもある“機動力”も上昇する。チームが極端な投高打低となっているだけに、背番号7の1日も早い復調が待たれるところだ。