5月16日、今季初めてクリーンアップを外れ7番レフトでスタメン出場した西川龍馬が、代名詞とも言える“悪球打ち”で打点2を叩き出した。チーム状態を表すように、この日の打点は4月29日のDeNA戦以来10試合ぶり。極度の打撃不振に陥っていた安打製造機に、ようやく浮上の兆しが見え始めた。ここでは昨季オフにカープOB・山崎隆造氏が語った、“西川の打撃”評を改めて振り返る。

曲芸とも称される天才的なバットコントロールが持ち味の西川龍馬選手。

 西川龍馬はタイミングの取り方、そしてバットに吸い付くような打球を生み出せるインサイドアウトのスイング、非常に素晴らしいものを持った選手だと思います。

 またヘッドスピードの出し方も非常にうまく、長打もしっかり狙えるタイプの打者です。シーズン終盤に4番を任された時期もありましたが、周囲の信頼を集めている証拠であり、私自身それだけの実力があると思っています。

 ただ西川の特徴でもある“悪球打ち”については賛否が分かれるところであり、現時点で私はどちらかと言えば直した方が良いのではないかと思っています。当然、人それぞれの考え方があり、短所を直そうとすることで長所もなくなってしまったら元も子もありません。

 ただ、単純に考えれば厳しい球、というか本来ボールになる球を見逃せば、それだけ甘い球がくる確率が高くなるわけです。甘いところにくればヒットにできる技術を持っているだけに、少しもったいないなという印象を覚えます。

 また早いカウントと、追い込まれた後で同じようなスイングをしてしまっている点も改善の余地があるように思います。もう少しカウントによってメリハリのある打撃をすることで、相手バッテリーから見てさらに打ち取りづらい打者になるでしょうね。