オープン戦で結果を残し、開幕ローテーション入りを確実なものとした森下暢仁投手。

「すぐに結果を残さなければいけない立場だと思いますし、『本当に勝てるのか』という恐怖にも似た気持ちがまったくないといったら、やはり嘘になります」

上記はドラフト直後の昨年11月、森下暢仁がインタビューの際に口に言葉だ。無理もない。大学ナンバーワン右腕の評価を受けているとはいえ、プロで成功を収めることができるのは“ほんの一握り”。それでもドラフト1位指名ともなれば、周囲からの期待値はいやが応にも高まってしまう。

しかし、そんな重圧がかかる状況下でも、即戦力右腕の実力は本物だった。無観客試合という異様な状況の中でも動じることなく、オープン戦では持ち味を存分に発揮した。3月15日のソフトバンク戦で打ち込まれたとはいえ、それ以前の3試合で残した防御率は1.64。最速152キロの直球はもちろんのこと、カーブ、カットボール、チェンジアップでも抜群の制球力を見せ、並み居る強打者を抑え込んで見せた。

ソフトバンク戦に関しても、課題ははっきりしている。「高めに球が浮けば被弾する」ということをオープン戦の段階で改めて再確認できたことは、ある意味で打者を抑え込んだこと以上に大きな収穫となった。

新型コロナウイルスの感染拡大で開幕戦が延期となってしまったが、本来ならば開幕ローテーションに名を連ね、第3戦(3月22日)の中日戦での先発が濃厚と見られていた。登板日が分からないという状況は酷なものがあるが、さまざまなプレッシャーにも動じないのは実証済みだけに、4月以降に持ち越されたプロ初登板への期待は高まるばかりだ。

「一軍で1年間先発ローテーションを守り抜くというのが目標です。二軍に落ちない、先発ローテーションから外れていないということは結果が出ているということだと思いますし、シーズンが終わってそれを果たすことができていたら、自ずと数字もついてきていると思います」

目標としていた「開幕一軍」「先発ローテーション入り」は当確。あとはオープン戦で見せた抜群の制球力を武器に、野村祐輔、大瀬良大地らが手にした新人王に突き進むだけだ。