背番号は時に選手の代名詞として語られるなど、アスリートにとって大きな意味を持つことも少なくない。ここではカープの選手に特化し、時代を彩った名選手の足跡を背番号と共に振り返る。

1年目から開幕一軍入りを果たすと、リリーフとして活躍を続けている大道温貴投手。

 この連載では何度も紹介しているが、10番台の背番号は、カープでは主に投手の番号となっている。

 今回のテーマである背番号「12」で見てみると、1950年の球団スタートから今季までの72シーズンで24選手が背負い、そのうち投手は17人。年数で見ると、1年だけ所有者がいない年があり計71年中、44年半が投手の年となっている。

 つまり人数で約7割、年数では約6割が投手で占められているということだ。年数比では、意外と投手が少ないように感じられたかもしれない。

 その要因の一つは、この番号の最長所有者で16年を占めるのが捕手だからだ。それが、1957年から1972年まで「12」を背負った田中尊。プロ3年目に南海から移籍すると、1969年までは正捕手として活躍。カープ捕手部門での出場試合数(1429)は、2016年に石原慶幸に抜かれるまで、歴代1位だった。コーチ補佐を兼任した1972年を最後に引退。その後はコーチからフロント入りして球団に貢献した。