鬼門と呼ばれる交流戦。6月8日終了時点で2勝6敗1分、交流戦最下位に沈んでいるカープ。苦しい戦いが続くなか、上位進出に向けてチームとして心がけるべきことはなにか。カープOBの笘篠賢治氏が、森下暢仁対田中将大の投手戦で注目を集めた、6月5日の楽天戦から意識すべきポイントを分析する。

カープ打線のキーマンとして活躍する西川龍馬選手。

◆6月5日の楽天戦。7回の勝ち越し機にベンチが出したサインに疑問

 なかなか投打が噛み合わないですね。ペナントレース前半は、投手陣がいいピッチングをしても得点が入らず。打線に安打が出るようになってきたら、今度は投手陣に疲れが見え始めています。6月4日から6日の楽天との3連戦も常に相手に先制を許す苦しい戦いとなり、3連敗を喫してしまいました。

 ただ、良かった点をあげるとすれば、5日の試合に先発した田中将大から、攻撃陣が先手を奪えたことです。「マー君から打ちたい」という気持ちはみんな大きかったと思いますね。そんななか、宇草孔基と林晃汰が本塁打。また、小園海斗(2安打)や野間峻祥(2安打)もマルチ安打。若い選手は自信になったはずです。同じ安打、本塁打でも、メジャーの最前線で活躍していた田中将から打つのは全然違いますからね。

 そして、4〜5月と苦しんでいた西川龍馬が、きっちりと状態を上げてきてくれました。菊池涼介や鈴木誠也も一軍に合流したので、西川は三番に置くのがいいのではないでしょうか。何度も言っていますが、やはり、日替わり打線では続かないですからね。落ち着きのある打線を組んでもらいたいです。

 そんな西川ですが、同じく5日の楽天戦、3−3の同点に追いつかれた直後の7回裏、無死一、二塁の場面でバントを決めました。ただ、本人は納得していないような感じに見えました。ここで何としても得点がほしいのは分かりますが、この采配では、打線に勢いがつかないような気もしました。ああいったことを鈴木誠や西川クラスの選手がやるのは、ペナントレース終盤の重要な試合だけでいいと思います。

 そして次の打者の林晃汰が空振り三振した際に、三塁走者の小園海斗が飛び出してアウト。ギャンブルスタートのサインが出ていたのかもしれませんが、バットに球が当たったら走るという意識よりも、本塁に進むという意識が強すぎたのかなと思います。打者が空振りするかもしれないという可能性が、小園の頭から抜けていたように感じました。

 これは完全に小園のミス。そして、一軍では決して許されないミスです。若い選手だけに、失敗も大事な経験とみてあげたいのですが、一軍でプレーする以上は勝たないといけませんから。

 若い選手は、当たり前のことを、もっと強く意識しなといけないですし、コーチ陣もしっかりと声かけをして、相手に流れが傾くミスは減らさないといけません。

 気がつくと6位のDeNAが調子を上げてきています。現在は3ゲーム差ですが、このゲーム差は、ないに等しいと思ってもいいでしょう。交流戦が終わったら、すぐにDeNA戦。ここで順位をひっくり返されないように、チームとして勢いを取り戻していってほしいですね。