2年ぶりの交流戦は最下位で終了。苦しい戦いが続くなか、上位進出に向けてチームとしてやるべきことはなにか。カープOBの笘篠賢治氏が考察する。

カープ打線のなかで日に日に存在感が増している林晃汰選手。

◆チームのポテンシャルを引き出す采配を心がけてほしい

 6月15日の西武戦(マツダスタジアム)に勝利し、“引き分けを挟んで8連敗”という泥沼からようやく抜け出すことができました。これでセ・リーグの12年ぶり2度目の交流戦勝ち越しが決定しました。ほっとしたファンの方もおられるのではないでしょうか。

 交流戦を見て感じたのは、他球団と比べて、勝負どころでの一打が少ない印象がありました。そんな中、6月15日の試合では、8回裏に宇草孔基が勝ち越し2ランを放ってくれました。6月13日のオリックス戦(京セラドーム大阪)も負けはしましたが、4点差を追いついた終盤の粘りは見事でした。

 ただやはりチーム自体に落ち着きがないですよね。選手は自分のやることをやるしかないのですが、首脳陣がバタバタしているようにも感じます。試行錯誤しているのは分かるのですが、それが選手のモチベーションにつながっていないような気がします。

 6月11日のオリックス戦(京セラドーム大阪)では、菊池涼介がスタメンを外れました。体調不良とかなら分かるのですが、8回に代打で出て、完全な休養日というわけでもない。「どうして?」と思ってしまいますよね。

 その前のカードのソフトバンク戦では、二番に西川龍馬、三番に林晃汰を起用。超攻撃的なオーダーに見えますが、結果的に林は11打数1安打。これまでせっかく調子良く打っていたのに、クリーンアップということで、林はプレッシャーを感じたのではないでしょうか。

 これが経験として積み重なり、将来的に良かったと思えるときがくるかもしれないですが、今やることなのかな?という疑問を抱いてしまいました。シーズン終盤に順位が決まってからやることではないのかなと。林に関しては、まだ下位打線でラクに打たせてあげたほうがいいのではないかと思います。

 一度しっかりとミーティングをして、チームとして今後どういう方向で戦っていくのかを共有したほうがいいのではないかと思いますね。新型コロナウイルスの影響など、いろんな状況が重なっただけに、選手の気持ちを一度リセットさせてあげないといけないタイミングでもあると思います。

 選手たちは任されたところで頑張ってくれと。そのかわり結果が出なかったとしても、それは全部現場の責任だと。物怖じせずに思い切ってやってくれと。このままズルズルいくチームではないということを、首脳陣は、野手にも投手にも伝えないといけません。選手の気持ちが切れないようにしてあげてほしい。下位に低迷し数字を追いかけていると、どうしても気が遠くなりますから。

 心が折れそうになるような状況でも諦めない気持ちを持って戦ってほしいですね。そういった意味では、一軍に上がってきた上本崇司や、羽月隆太郎といったムードメーカーにも期待したいです。下位にいるチームがしんみりした雰囲気で野球をしていたら、見ているほうも寂しいですし、勝てる流れも呼び込めないと思います。

 9連戦から1日だけ間を空けてリーグ戦再開と切り替える時間は少ないですが、まだまだ巻き返すチャンスはあるだけに、奮起に期待したいと思います。