今季、開幕から先発ローテの柱として活躍を続ける森下暢仁投手。

◆リーグ一番乗りで完封勝利を飾ったヤクルト戦

 侍ジャパンに続き、オールスターにもファン投票で選出された森下暢仁。昨年はオールスターが開催されなかったため、プロ2年目で初めての球宴に挑む。

 今シーズン、森下はここまで11試合に先発。4勝4敗、防御率2.36、63奪三振の成績。新型コロナウイルスの濃厚接触者と判定され離脱した期間もあったが、開幕から先発ローテの柱として活躍を続けている。

 森下の今季の登板で最も印象に残る登板は、今季2度目の先発マウンドとなった4月6日のヤクルト戦(神宮)だろう。この試合、森下はリーグ一番乗りで完封勝利を達成。西川龍馬の本塁打、堂林翔太の適時打で奪った2点を一人で守り切った。

 毎回のように走者を背負う投球となったが、勝負所での集中力は抜群。今季の森下を象徴する粘り強い投球でヤクルト打線に得点を与えなかった。

 なかでも印象的だったのは9回1死三塁の場面での塩見泰隆との対戦。球数は100球を超えていたが、速球で真っ向勝負を挑むと、最後は内角低めに、この試合116球目となる150kmを超えるストレートを投げ込み、見逃し三振にしとめた。

 カープOBの大野豊氏も「ピンチの場面でも怯むことなく、内角低めに投げ込んだ力強いストレートは素晴らしかった」とこの一球を絶賛した。

「森下は、走者がいる時といない時でギアチェンジがうまくできる投手です。とにかくピンチに強い。これが森下の最大の武器だと思います。1年間、ケガをすることなく先発ローテで投げることができれば、最多勝や最優秀防御率といったタイトルを獲得する可能性は十分あると思います」(大野氏)

 今季初完封を呼び込んだ圧巻のストレートは、勝ちにこだわる森下の魂も感じる一球だった。森下は1年を通して貫き通したいテーマをこう掲げている。

「“昨年活躍したのに今年はダメだった”と言われるのは嫌なので、やるべきことをやって試合に備えたいと思います。やるべきことをやって結果が出なかったら単純に力不足だと思うので、特に重圧は感じていません。自分ができることをやるだけです」

 オールスター出場、そして東京五輪。周囲からの期待を受け森下がどんな未来を届けてくれるか、楽しみに見守りたい。