サンフィールド(出版・メディア)・RIGHTS.(スポーツマネジメント)・edu-activators(組織開発・人材育成)の3社協働で取り組む新しいプロジェクト《アスガク from Hiroshima》。

 同プロジェクトでは、アスリートやスポーツから『学ぶ』ことや『育てる』ことにフォーカスし、子ども達はもちろん、保護者、ビジネスマンなど、幅広い世代に向けてさまざまな形式での情報発信を行い、スポーツの新たな価値創出を目指していきます。

 今回、広島アスリートマガジンWEBでは、《アスガク from Hiroshima》を通して、スポーツが持つ新たな魅力に迫る連載をスタートします。アスリート・スポーツの力を“学ぶ力”に変えるための取り組みを、(株)eduーactivators代表の門田卓史氏の言葉で発信していきます。

◆スポーツには人が成長する“学び”がある

 今回のスポーツ教育プロジェクトに参加させていただく(株)eduーactivators代表の門田卓史です。この連載では『アスガク from Hiroshima』をより身近に感じていただくため、広島で、企業や大学、スポーツチームに教育・研修を提供している立場から、『スポーツの学び=教育力』に迫っていきたいと思います。

 これまでに、スポーツ分野において指導者育成やチームビルディングなどの研修を数多く提供してきましたが、特に育成世代を対象とする際には「スポーツでの気づき、学びは、その競技だけに留まらない」と必ず伝えています。今回のコラムでは私がこのように考える背景を説明させていただきます。

◆スポーツとビジネスや社会の共通点

 スポーツにおいて起こり得る状況と、ビジネスや社会を取り巻く環境や起こり得る状況は、類似している点が多くあります。現代の企業や経済を取り巻く環境は、AIやIOTに代表されるICTやグローバル化といった外部環境の急速な発展により変化のスピードは加速度的に上がり、ますます不安定で見通しが立ちづらい状況になっています。

 こうした状況から、現代社会はVUCA時代と言い表されています。これは、Volatilit(変動性)、Uncertainty(不確実性)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性)の頭文字で、「変化が著しく、将来の予測が難しい時代」を表現しています。

 この状況は今やビジネスや経済に限った話ではなく、新型コロナウィルスによる世界的な混乱が示すように、私たちの日々の生活においても同様です。

 同じように予測が難しいのがスポーツです。相手チームの状況(スタメン選手の調子、戦略戦術など)はもちろんのこと、自チームのメンバーの状態(調子や怪我など)から審判の傾向、さらには会場から天候など、チームや選手を取り巻く環境は一定ではありません。

 さらに近年では、ICTや科学的な視点が次々に投入され、データ分析や選手一人ひとりの調子などを数値化し、練習や試合において活用されるなど、チームや選手を取り巻く環境は日々刻刻と変化しています。

◆共通した求められる力

 先日、FOOT×BRAIN(テレビ東京)に出演した元日本代表中田英寿氏が印象深い話しを述べられていました。

「ピッチ上を見て、どう問題を解決するのか、相手と自分がどういう状況にいて、何をすれば最大のパフォーマンスを発揮できるかと考える」「相手によってやり方を変えて、さらに、ただゴールを決めるのではつまらないから、いかに美しく自分の形でできるかを考える」と話していました。

 変化が著しく、将来の予測が難しい時代には、例えば『1+1=2』のように誰が答えても同じ答えとなる絶対的な正解は存在しません。これまで上手くいっていたからというやり方に依存していると、あっという間に取り残されてしまいます。

 では、何が求められているのか?それは、変化に柔軟に対応し、複数存在する中から状況に応じた『最適な解』を選択し、さらに常識や従来の方法に拘らず、自身が納得する『新たな解を創造』していくことです。

 まさに中田氏が述べたように「相手によってやり方を変え」「いかに美しく自分の形でできるかを考える」ということです。

 学校教育においても、新学習指導要領で「主体的、対話的な深い学び」として探求型学習や課題解決型学習がすでにスタートしています。これまでの「正解を探る」「正解至上主義」という教育から、「自ら探求し、創造する」という教育へ転換され、現代に求められる能力の育成に重きが置かれようとしているのです。

◆スポーツには圧倒的な機会がある

 スポーツで成長や育成というと、多くの方が、スポーツでは個人のスキルやテクニック、チームとしての戦略・戦術の確立といった、競技に直接的に関わることを想像されるかと思います。

 ただ、今回のプロジェクトでテーマにしているのは『人としての成長』です。スポーツをより俯瞰的に捉えると、スポーツには人として成長するために必要な機会が圧倒的な量で存在しています。

 ここで言う機会とは『体験』です。それも単なる体験ではなく、『人としての成長に必要な“学び”を得られる体験』です。

 スポーツには、感情・思考・身体が直接的につながる体験が圧倒的な量で存在しています。自ら考える体験/現実を受け止める体験/一歩踏み出す体験/苦手なことに取り組む体験/試行錯誤する体験/常識を打ち破る体験/挫折体験/挫折から立ち上がる体験/やり抜く体験/他者(メンバー)共に取り組む体験/メンバーと支え合う体験/メンバーと対立・対峙する体験/共に成し遂げる体験……と数え切れません。

 私が提供する体験・体感型の教育研修では、これまでに挙げた体験を、ある意味で作為的に創出しています。講義主体の研修では教えられた知識でとどまってしまい、現場において「知ってはいるけど……」という事態になってしまう傾向が高くなります。

 体験を伴った研修の場合、発生した事実やその対応といった過程において『気づき』『学び』が生まれ、知識と接続されることで、高い納得度だけではなく、現場において『できること』にすることができます。

 体験は『気づき』や『学び』につなげることができるとても貴重な機会であり、スポーツに圧倒的に存在する機会を、単に『体験しただけ』に留まらせるのはもったいないことだと思います。

 それを身につけ、より豊かで充実した人生を送れるようにサポートしていくのが、今回の3社協働プロジェクトです。ぜひ『アスガク』を通して、スポーツの新たな魅力に触れてみてください。

 

【プロフィール】
門田卓史(もんでん たかし)
(株)edu-activators(エデュアクティベーターズ) 代表取締役
1975年広島生まれ、2016年より現職。アドベンチャー教育、体験教育を背景に、企業や大学、学校教育、スポーツなど幅広い分野に対し、チームビルディングや組織開発、人材育成、ファシリテーション研修などを提供。理論や経験に基づく知識を提供するだけでなく、体験・体感型のワークを通し、受講者自身の気づきから学びを促す納得度の高い参加型の研修を展開。スポーツ分野においては、日本サッカー協会A級ライセンス講習会、日本バスケットボール協会S級ライセンス講習会において講師を務めるほか、サンフレッチェ広島スクールが『人としての成長』を目的に開催されるキャンプの企画運営を担うなど、成長をテーマとした研修を提供している。