侍ジャパンに初めて選出されたカープの森下暢仁投手。

 プロ2年目にして、エースの風格すら漂ってきた森下暢仁。

 今季も開幕から先発ローテを守り、勝ち星こそ4にとどまっているが、先発した11試合中、10試合でQS(クオリティ・スタート=6回以上投げて自責点3以下)を記録。QS率90.9パーセントは、規定投球回到達者では12球団ナンバーワンだ(※成績はすべて7月2日時点)。

 今月開幕される東京五輪のメンバーにも選出された森下だが、実はメンバーで唯一、高校、大学、そして今回のトップチームと、3世代で「侍ジャパン」のユニフォームを着ている。

 経歴だけを見ると、「エリート街道」を突き進んできたようにも思えるが、高校時代は当初、「投手」としてよりも「野手」としての才能を高く評価されていたことはあまり知られていない。

 地元・大分で小、中学校と軟式野球をプレー。高校も地元の大分商に進んだ森下は1年夏、いきなり甲子園に出場する。しかし、当時は控えのベンチメンバーで、試合出場は叶わなかった。

 当時から兼任で投手も務めていたが、メインポジションは内野。当時の練習も基本的には「野手メニュー」だったが、ある日の守備練習で見せた送球が渡邊正雄監督の目に留まり、ブルペンに入ってみるといきなり140キロを超えるストレートを投げたという。