第103回全国高校野球選手権広島大会が7月10日に開幕した。開会式が行われた呉市・鶴岡一人記念球場の1回戦第1試合は、熊野-福山誠之館。福山誠之館が3年生10名を含むベンチ入り選手20名に対して、熊野は他のクラブから3名の助っ人を入れて11名。戦力で劣ると思われた試合は、熊野の善戦で白熱した。

2番手で登板し、好投した福山誠之館の門田知将投手

 1回表、熊野は先頭打者の神田康生(3年)が四球を選ぶと、次打者の初球にいきなり盗塁。2番打者の山吹侑聖(2年)は初球を左打席に立ち、ランナーのスタートを見えにくくした。2球目は本来の右打席に入り、しっかり送りバントを決め、1死三塁を演出。3番打者が四球を選び、初球で盗塁し、二、三塁。4番の宇都宮侑里(2年)がセカンドゴロでまず1点。その後は四球を選んで一、三塁とし、一塁走者が盗塁を仕掛けて一、二塁間に挟まれる間に三塁走者が本塁に生還。相手投手の制球が定まらない初回、熊野はノーヒットで2点を先取した。

 2回裏は、福山誠之館が相手の失策や適時打で3点を奪い逆転。粘る熊野は5回表に、2死満塁で5番・中尾征矢(2年)がライト前に2点適時打を放ち、4-3と逆転。勝負がついたのは7回裏。2死一、二塁で福山誠之館の8番・藤岡悟史(3年)が右中間に三塁打を放ち逆転。さらに相手投手の暴投で1点を追加し、4-6とした。福山誠之館は、2番手として6回から登板した右腕・門田知将(2年)が4イニングを散発3安打無失点に抑え、勝利を引き寄せた。

 試合後、熊野の岡田和之介監督は、「選手は持っている以上の力を出してくれた。エラーありきを想定していたので浮足立つことはなかった。秋からは(1・2年生で部員5名なので)合同チームでの出場も考える。野球が出来る場を残したい」と、秋を見据えた。

熊野
200 020 000/4
030 000 30×/6
福山誠之館

 第2試合は加計・芸北-呉商業。初回、加計・芸北が5安打と四球、相手の失策などで5点を先取したが、中盤以降に呉商業の粘りに逆転を許した。共に二桁安打の乱打戦を終えて、加計・芸北の平井裕監督は、「何度か練習試合をした相手で、点の取り合いは覚悟していた。初回の5点は出来過ぎだが、1試合任せられる投手がいないのが敗因」。8回の無死二塁のチャンスも送りバントをせず、最後まで打撃で勝負した。

加計・芸北
501 001 100/8
011 022 30×/9
呉商業

文=ライター藤原史郎