◆優勝争いを続けていれば、チームの力はあがっていく

 春季キャンプでは、積極的に選手とコミュニケーションをとる鈴木の姿が目立っていた。それは若手選手にとどまらず、年齢が上の選手とも頻繁に会話を重ね、新助っ人選手であるクロンとも笑顔で談笑するシーンも見受けられた。その姿は、若手とベテラン、そして助っ人をつなぐ“架け橋”のような存在にも見てとれた。

 チーム内のコミュニケーションの活性化という面では、今季カープに復帰した河田雄祐ヘッドコーチの存在も自分を後押しする要素になっていると鈴木は話す。

「周りから活気があるように見えると言われますが、僕自身もそう思いますし、河田コーチはそういう雰囲気づくりが本当に上手いと思います。盛り上げるときと、厳しくするときのメリハリが効いているので、良い緊張感があります。だからこそ、若い選手には萎縮しないで思い切ってプレーしてほしいですし、逆にコーチから指摘されて落ち込んでいるなと感じたら、前向きな言葉をかけるようにしています」

 鈴木のプレーがチームに与える影響は大きいだけに、5年連続で打率3割以上、25本塁打以上を記録してもなお、現状の成績に満足せず、さらなる進化を目指していく。チームの主軸として、そして野手キャプテンとしての決意を鈴木はこう語った。

「2年連続でBクラスに終わってしまいましたし、3連覇した頃とはメンバーも変わってきたので、上を目指すためには、また新たにつくり上げていかないといけないと思います。ここ2年でデビューした選手はAクラスを経験していませんし、常に上位争い、優勝争いを続けていれば、そういう若い選手も自信がつくと思います。そうやってチームの力が上がっていけば、優勝も見えてくると思います。また、ファンのみなさんが球場に足を運んでいただけるのはプロ野球選手として本当に幸せなことですし、観に来てくださる方々がいることで僕たちも気持ちが引き締まります。ファンのみなさんに少しでも良いプレーを見せられるように頑張りたいですし、カープの試合を観てくださるみなさんに、たくさんの歓喜を届けていきたいと思います」

◆プロフィール
鈴木誠也 1
■すずき・せいや ■1994年8月18日生(27歳)■181cm/98kg   
■右投右打/外野手 ■東京都出身 ■二松学舎大付高-広島(2012年ドラフト2位)