2020年ドラフト1位で入団した栗林良吏投手。

 森下暢仁、栗林良吏。2年連続で即戦力投手の一本釣りに成功しているカープ。2021年のドラフト1位指名選手はどの選手になるか。流しのブルペンキャッチャーとして活躍する安倍昌彦氏が、どこよりも早く2021年ドラフトを大胆予想した企画を再収録する。※取材は2021年4月上旬。

◆高校、大学、社会人に投手の逸材がずらり。今年のドラフトは投手のためのドラフト⁉

 昨年の「2020ドラフト」は言い変えれば「大学生のためのドラフト」だった。1位指名12人のうち、8人が大学生。上位3位指名36選手の中でも、半分以上の19選手が「大学生」だったから驚いた。

 ならば今年の「2021ドラフト」はどうなのか……と鳥瞰してみたら、やはりかなり明確な兆候が現れてきた。それは「投手のためのドラフト」である。

 高校、大学、社会人……全てのカテゴリーにおいて、ドラフト1位候補を探してみると、名前が挙がってくるのは「投手」ばかり。ざっと拾ってみると、10人も15人も投手が続いて、捕手も内野手も外野手も「野手」の名前がなかなか挙がってこないから、また驚いた。

 昨年は大学球界に佐藤輝明(外野手・近畿大→阪神1位)や牧秀悟(内野手・中央大→DeNA2位)がいて、1年目のシーズン当初からレギュラーで活躍しているが、今年のアマチュア球界には、このレベルの野手が見当たらない。

 実際に、今年のドラフト1位候補と目される選手たちを挙げてみると、4月中旬の現段階ではこうなる。

 畔柳亨丞 (投手 ・中京大中京高)/達孝太(投手・天理高)/小園健太(投手・市立和歌山高)/森木大智(投手・高知高)/関戸康介(投手・大阪桐蔭高)/松浦慶斗(投手 ・大阪桐蔭高)/斉藤汰直(投手・武庫荘総合高)/徳山壮磨(投手・早稲田大)竹田祐(投手・明治大)/鈴木勇斗(投手・創価大)/山下輝(投手・法政大)/佐藤隼輔  (投手・筑波大)/椋木蓮(投手・東北福祉大)/廣畑敦也(投手・三菱自動車倉敷オーシャンズ)/阪口樂(一塁手・岐阜一高)/正木智也(外野手・慶應義塾大)

 ようやく高校生、大学生が各1名ずつ、1位候補に名を連ねたが、こんなに「野手」が心細い年もないだろう。もしかしたら、ドラフト史上初めて、1位指名12人すべて投手……ということになるのだろうか。

 この先半年で、ここに、どんなバットマンたちが台頭してくるのか。逆に考えたら、野手にとってはこんなにチャンスな年はない。稀少価値というありがたい値打ちを有しているからだ。

◎2021年のドラ1候補たち/ 達 孝太(天理高)・投手

 

 長い手足がしなやかに躍動して繰り出される150キロ前後を誇る伸びのあるストレートに将来性を感じます。嬉々として投げる表情にも伸びしろを感じる。

◎2021年のドラ1候補たち/ 廣畑敦也( 三菱自動車倉敷オーシャンズ)・投手

 

 社会人1年間で急激に頭角を現した快速右腕。150キロ前後の速球に加えスライダー、フォークなど、多彩な球種も兼ね備えている。また、勝負根性◎だ。