2021年ドラフト会議が10月11日に行われる。今季苦しい戦いを強いられているカープは一体どんな選手を指名するのか注目される。未来のカープを支える選手発掘の過程の中で、これまでカープはどのような戦略を立てドラフトに臨んできたのだろうか?

 ここでは直近10年間のカープのドラフト指名選手を当時の状況と共に振り返っていく。今回は今季一軍で飛躍した選手が多く目立っている2018年ドラフトに触れていく。

4球団競合となった小園の交渉権を獲得した2018年ドラフト。早期一軍デビュー選手が多く、今後の飛躍が期待されている。

 世代に限らず有力選手が点在するなか、2018年は主に高校生野手に注目が集なる年となった。実際のドラフト会議でも根尾昂(大阪桐蔭高)、小園海斗(報徳学園高)に4球団、藤原恭太(大阪桐蔭高)に3球団と指名が重複。1位での単独指名は西武の松本航(日本体育大)のみという、稀有なドラフト会議となった。

 その中でカープは、2年連続でU18にも選出された小園を指名。ソフトバンク、オリックス、DeNAとの抽選を制し、走攻守3拍子そろったゴールデンルーキーの獲得に成功した。小園はルーキーイヤーから一軍で40安打を記録。2年目は苦しんだものの、3年目となる今季はショートのレギュラーポジションを掴み、初の規定打席にも到達するなど、大躍進のシーズンとなっている。

 2位以降も粒揃いで、小園の次に指名されたのは大瀬良大地の後輩である島内颯太郎(九州共立大)。右腕が投じる直球の威力は、球界でもトップクラスの呼び声が高く、一軍ブルペン定着に向けて奮闘中だ。

 高卒野手の3位・林晃汰(智弁和歌山高)と7位・羽月隆太郎(神村学園高)は、2020年に一軍初昇格を経験。特に林は今季一軍で初本塁打を放つなど存在感を見せ、サードのレギュラー奪取に向けて日々奮闘中だ。また羽月も故障こそあったものの、自慢の足を生かしたプレーで必死のアピールを続けている。6位指名となった正隋優弥(亜細亜大)は今季二軍で好成績を残し、一軍の舞台でも少しずつスタメン機会のチャンスを得ている。

 投手では5位指名の田中法彦(菰野高)が2020年に二軍で防御率、セーブ数でリーグ1位を記録し一軍初登板を経験している。そして極め付けは、2019年オフに支配下登録を勝ち取った大盛穂(静岡産業大)の躍進ぶりだ。カープの育成出身選手として中谷翼以来10年ぶりに安打を記録するなど、73試合に出場して35安打を放った。

【2018年 カープドラフト指名選手】
1位:小園海斗(報徳学園高・内野手)
2位:島内颯太郎(九州共立大・投手)
3位:林晃汰(智弁和歌山高・内野手)
4位:中神拓都(市立岐阜商高・外野手)
5位:田中法彦(菰野高・投手)
6位:正隋優弥(亜細亜大・外野手)
7位:羽月隆太郎(神村学園高・内野手)
育成ドラフト1位:大盛穂(静岡産業大・外野手)