今年もプロ野球選手にとって寂しい季節がやってきた。カープは10月14日に6選手に来季の契約を更新しないと通告し、その中に長年カープのブルペンを支えてきた鉄腕・今村猛の名前があった。

プロ12年間で431試合に登板した今村猛。

 今村は長崎・清峰高時代、2年夏の甲子園に出場すると、3年春の甲子園では速球を武器に安定した投球を展開し、全国制覇を成し遂げた。その後、2009年ドラフト会議でカープが1位指名。高卒投手の1位指名は、1999年の河内貴哉以来だった。

 入団後、ルーキーイヤーは育成のため主に二軍でプレー。プロ2年目は先発として登板機会を得ると、シーズン途中に中継ぎに転向し、54試合に登板して一軍定着。2012年には球団新記録となる29試合連続無失点をマークするなど、69試合に登板し防御率1.89と安定した投球を披露。オフには侍ジャパン入りを果たし、第3回WBC日本代表でも登板。球界を代表するリリーフへと成長した。

 2014年から2年間は不調に陥り、登板機会を減らしたが、2016年に復活。勝利の方程式の一角として67試合に登板し、25年ぶりの優勝に大きく貢献。日本シリーズでは、全6戦に登板し、4ホールドを記録した。また翌2017年にはストッパーの中崎翔太が故障離脱した時期にストッパーを務めて23セーブ。2018年はやや調子を崩したものの、リーグ3連覇中の3シーズンで178試合に登板し、鉄腕ぶりを発揮した。

 2019年からは一軍での登板数が激減し、昨年はわずか6試合。今季は二軍でチーム2位の36試合に登板するなど、最後まで一軍での登板機会を目指していたが、一軍登板はなかった。プロ12年間で431試合に登板し、21勝30敗36セーブ115ホールド、防御率3.46。リーグ3連覇を支えた鉄腕が、静かにチームを去る。