カープOBの笘篠賢治がカープ野手陣を徹底分析するコラム。今回は、10月18日の阪神戦で勝敗を分けるポイントとなったシーンを取り上げる。

残り6試合。佐々岡真司監督の采配にも期待がかかる。

◆6年前の田中広輔の疑惑の本塁打然り…

 10月19日の試合終了時点で3位・巨人と3ゲーム差。可能性が低いとはいえ、クライマックスシリーズ進出に向けて僅かな望みが見えてきています。

 カープは残り6試合。対戦相手を見ると、6試合のうち5試合が、上位のヤクルト(3試合)と阪神(2試合)。厳しい戦いが予想されますが、投打の噛み合ったゲームが続いているだけに、なんとか全部勝ち、悔いなくシーズンを終えてもらいたいですね。

 今回のコラムでは、まずこのシーンに触れたいと思います。10月18日の阪神戦。1点差の8回表に、會澤翼がレフトライナーを放ち、一塁走者の大盛稔が飛び出して併殺になってしまった場面です。

 會澤が放ったレフトへの打球は地面すれすれのもので、捕球する前に打球がバウンドしたようにも見えましたが判定はアウト。カープベンチはリクエストを要求しましたが判定は覆らず。判断が難しい打球だっただけに、疑惑が残る結末となってしまいました。

 仮にアウトだったとしても、併殺になったのは痛かったですね。テレビで見ていた限り、二塁に向かって走る大盛が、塁審の判断がどっちなのか分からず、一塁に戻り遅れた感じにも見えました。6年前の田中広輔の疑惑の本塁打然り、CS争いにおいて、甲子園には魔物が潜んでいるのでしょうか……。

 ただ、7回まで阪神先発の伊藤将司の攻略に苦しんでいたのも確かです。スタメンマスクがいつもバッテリーを組んでいた梅野隆太郎ではなく、坂本誠志郎だったことも影響したのかもしれません。変化球が多めの配球に、各打者が戸惑った可能性も考えられます。こういった場合は、データ傾向ではなく、打者の感覚を優先して打っていくのも一つの方法だと思います。いずれにしろ、最多勝争いを繰り広げている九里亜蓮が好投していただけに、なんとか早めに援護してあげたかったですね。