新型コロナウイルスの猛威が止まらない。

 4月10日現在、世界の死者は9万人を超えた。日本でも緊急事態宣言が発令された。「とにかく家にいること」と自粛要請がなされたものの収束の気配は見えないどころか、ますます拡大の傾向にある。近づく医療崩壊の足音と疲弊する最前線。先が見えない。保証も見えない。ひとまず届くのは1家2枚の布マスクのみ……まさに出口不明のトンネルに入ったようである。

 サッカー界もその影響を大きく受けている。まず、世界に目を向けると、主要リーグは軒並み休止。チャンピオンズリーグもラウンド16の途中でストップ。EURO2020は1年延期で、こちらも来年開催となった東京五輪サッカーは従来のU-23という年齢制限をU-24に変更する方向で協議されている。正直なところいま来年のことについて考える余裕などないが、すべてが完全にフリーズしてしまっているというのが現状だ。

 では日本はどうか。酒井高徳選手(神戸)に陽性反応が出たことを筆頭に、C大阪や群馬の選手のコロナ罹患が報告された。酒井選手といえば日本代表歴も長い有名選手なだけに「あんな人まで!」と世間に強いインパクトを与えた。そうした事態も受け、JリーグはJ3が4月25日、J2が5月2日、J1が5月9日に予定していたリーグ戦の再開を断念。ひとまず延期は5月27日までということになっているが、こちらもどうなるか分からない。ちなみにこれでリーグ戦は全34試合中、現状第2節から第15節までの14試合が延期ということになる。

 最後の試合が2月23日だったので、こうなるとJのない日常が1カ月半強も過ぎていることになる。広島ではカープも含めて、これまでは当たり前のように存在していた球音や野球中継のざわめき、サポーターの歓声や週末ごとの一喜一憂が失われた日々が過ぎている。こうした事態に対し最初のうちは「早くいつもと同じ日常が戻ってきてほしいな……」と願っていた私だが、最近はそれとは異なる感情に侵されてはじめている自分に気付いて思わずゾッとしてしまう。