セ・パ両リーグの優勝も決定し、レギュラーシーズンも残り1試合。となるとがぜん注目を集めるのが“個人”の記録だ。今季のカープはBクラスに沈んだものの、“個人”に目を向ければタイトル獲得や節目の記録が期待される選手が多く存在する。

 今季ラストゲーム、11月1日の対ヤクルト戦は、決して“消化試合”ではない。カープ戦士たちの1球、1打席から目を離すな!(※本文内の記録は全て10月29日終了時点)

シーズンを通して守護神として活躍した栗林良吏投手。

◆カープの守護神が新人セーブ記録に挑戦

 カープのレギュラーシーズンは、11月1日のヤクルト戦を残すのみ。今季終盤には怒涛の追い上げを見せ、一時は絶望的と思われていたCS出場まであと一歩に迫ったが、3位・巨人を逆転するまでは至らなかった。

 それでも、“個人記録”に目を向けると今季のカープにはまだまだ見どころが多い。

 まず注目したいのが、栗林良吏だ。ルーキーながら開幕からクローザーの座を掴むと、抜群の安定感でセーブを量産。現在まで積み上げたセーブの数は36。また、目下19試合連続セーブ記録を継続中だ。

 最終戦で37セーブ目を挙げれば山﨑康晃(DeNA)の持つプロ野球新人セーブ記録に並ぶ。また、20試合連続セーブなら岩瀬仁紀(元中日)に並ぶNPB歴代2位タイ。セーブはチームの勝利が大前提の記録だが、最終戦で栗林がまた、球史にその名を刻むかもしれない。

 高卒3年目の今季、大ブレイクを果たした小園海斗は10月29日のDeNA戦で3安打を放ち、打率を.294まで上げてきた。最終戦で4打数4安打を記録することができれば、打率が3割の大台に乗る。高卒3年目以内の打率3割は、NPBでは昨季の村上宗隆(ヤクルト)以来。カープの選手では1992年の前田智徳以来、29年ぶりの快挙になる。ハードルはかなり高いが、10月に入って再び調子を上げてきているだけに、ぜひチャレンジして欲しい。

 そして、最終戦で最も気になるのが鈴木誠也、坂倉将吾によるチームメイト同士の首位打者争いだ。現在、鈴木誠也は打率.319でリーグトップ、坂倉は.313で同4位。その差は6厘あるが、最終戦の結果次第では逆転の可能性がかろうじて残っている。

 最終戦で坂倉が4打数4安打を記録した場合、打率は.3192となる。鈴木誠也の打率は.3194なので2毛上回るが、仮に1打席でも凡退すれば坂倉に逆転を許すことになる。

 確実に首位打者獲得を狙うのであれば、鈴木誠也は最終戦を欠場するのが最善策だろう。ただ、首位打者を争うライバルが自チームの選手であることに加え、本塁打王争いでは村上、岡本和真(巨人)に1本差に迫っているからややこしい。

 最終戦はタイトル1つを確実に獲るために欠場、もしくは過去2試合と同様にスタメンを外れて状況次第で途中出場するのか。はたまた「無冠」のリスクを負いながらも果敢に「二冠」を目指すのか……。

 ちなみに、最終戦が行われる神宮球場は鈴木誠也にとって相性が良く、今季9試合で打率.387、4本塁打を記録している。

 カープにとっての143試合目、CS出場もないだけにファンの前でプレーするのは今季最後になる舞台。できれば両者スタメン出場し、「ガチンコ」の首位打者争いが見たい気もするが、果たして……。

 栗林のセーブ記録、小園の打率3割、鈴木誠也&坂倉の首位打者争い――。

 順位は確定しているが、カープの今季最後の試合は見どころ十分。

 まずはスタメン発表の段階から、選手の1プレーまで、最後の最後まで目が離せないゲームになりそうだ。