今季、3年連続でBクラスが確定したカープ。4年ぶりのリーグ優勝に向けて、秋季キャンプがスタートした。カープOBの笘篠賢治氏に秋季キャンプを見たうえでの、若い選手が多いチームの課題を聞いた。

今年の春季キャンプで、守備練習に取り組む正隨優弥選手と鈴木誠也選手。

◆右の外野手はチームの最重要ポイント

 秋季練習第2クール最終日の11月16日に、J SPORTSの中継で解説したのですが、その日は紅白戦が行われていました。

 投手は四球を出さないというテーマで投げていたと思うのですが、少し寂しい結果に終わったのは残念ですね。ストライク先行で打者を打ち取るのは大事なことですし、もっと上のレベルのテーマを持たないといけない選手は数多いです。

 打者に関しては、積極的に甘い球を狙いにいくというのがスタンスとしてあったと思います。持丸泰輝、木下元秀ら育成の選手も入りながらの試合なので、一・二軍合同でやっているような雰囲気でしたが、特に一軍の選手は、もっと踏み込んだテーマを持ってやってもいいのかなと感じました。チーム単位の取り組みも大事ですが、秋は個々でやることが重要な時期なので、そのあたりが物足りないように感じてしまいました。

 たとえば正隨優弥。紅白戦で本塁打をバックスクリーンに叩き込み、右の長距離砲として良いアピールをしていました。しかし、本塁打の後の打席で、ワンストライクから外のスライダーを腰砕けみたいな感じでポーンと打ち上げてしまっていて、もったいなかったです。それであれば、空振りでもいいから腰の座ったスイングをしてほしかったですね。

 少しでも甘いところにきたら、もう一発あるぞとビビらせるようなスイングを全ての打席でできるようになれば、もっと“らしさ”を出せて、レギュラーに近づけると思います。鈴木誠也のポスティングによるメジャー挑戦を球団が容認したことで、右の外野手というのは注目のポジションになります。そこで頭一つ抜け出すためには、しっかりと自分の役割を理解しないといけません。もちろん、それは正隨だけに限った話ではありません。そのあたりの個々の意識が伝わってくるような練習が見たいですね。