◆一塁&三塁コーチャーの重要性

 機動力野球を進める上で、一塁&三塁コーチャーの役割もそれぞれ重要になってきます。

 今年カープは(2013年取材当時)一塁コーチに石井琢朗を置いています。彼は現役時代に走ってきた選手だからこそ、盗塁のタイミング、投手の牽制を警戒すること、打球判断などを的確にアドバイスすることができているのでしょう。これはカープにとって、大きな強みになっているはずです。

 また、サードコーチャーというのは監督と同じくらい重要なポストです。

 「あの場面での走塁」、「走者をホームに走らせる」など、グラウンドで起こるタイムリーなプレーの判断が1点を奪うことに直接関わってくる訳ですから。

 機動力野球を理解していれば、守りの面でも打球判断を理解した動きを取れるはずですから、1点を防ぐ野球に繋がります。それが緻密な野球となり、長いシーズンの中で接戦をモノにすることができるようになっていきます。

 監督の指揮も機動力野球に大きく左右します。選手を動かし、作戦を実行させるのは監督の仕事です。

 監督を支えるコーチも重要ですが、最終的に選手起用を決めるのは監督で、責任は全て監督にある。

 そして二軍との連携も大事になってきます。監督時代は一軍と二軍の連携をしっかり取りました。若い選手が二軍から一軍に昇格したときに『監督が展開する野球を理解できているか』が大事です。

 そういった意味でも『機動力野球』を推進していくには、チーム全体が同じ方向を向いていることが大切になってくるのです。