2018年ドラフト6位でカープに入団した正隨優弥氏。2022年に行われた、第1回現役ドラフトで楽天へ移籍し、2023年に現役を引退。引退後は一般企業に就職した後、再び野球界へと戻ってきた。現在は阪神タイガースWomenのコーチとして、女子野球の普及と選手育成に力を注いでいる。野球への想いを再確認し、新たなステージで奮闘する正隨氏の今に迫った。

現在、阪神タイガースWomenのコーチを務める正隨優弥氏

◆ご縁でつながった阪神タイガースWomenのコーチ就任

─ 阪神タイガースWomenのコーチ就任はどのような経緯で決まったのでしょうか?

「引退後、一般企業に就職していたのですが、『スポーツ関連の仕事に就きたい』という思いがあり、知人を通じて阪神球団さんからのお話をいただき、コーチに就任することになりました」

─ 現在女子野球のコーチに就かれています。『女子野球』をどのように発展させていきたいとお考えですか?

「野球の人気や競技人口は減少傾向にありますが、女子野球はチーム数が増加し、盛り上がりを見せています。しかし、世間的な認知度はまだ低く、『女子がやる野球=ソフトボール』というイメージが根強く残っていると感じます。また、観客の数も男子と比べると圧倒的に少ないのが現状です。もっと多くの方に女子野球の魅力を知ってもらい、元気あふれるプレーを観たいと思う人を増やせれば、さらに面白くなるはずです」

─ 女子野球を広めるために、どのような取り組みを考えていますか?

「具体的なプランはまだ明確ではありませんが、女子野球の認知度を上げるための活動をしたいと思っています。たとえば、野球教室の開催やSNSを活用した発信などが考えられます。観客が増えれば、選手のモチベーションも自然と向上します。少しでも女子野球を知ってもらう機会を増やし、魅力を発信していきたいですね」

─ 女子野球の指導のほかに個別指導も行われているようですが、男女で接し方や技術指導の違いはありますか?

「選手一人ひとり、体のつくりや感じ方が異なるため、男女の違いというよりは、それぞれに合わせた指導を意識しています。たとえば、出塁率を上げたい選手と長打を狙う選手では、練習内容や意識するポイントが異なります。まず『どんな選手になりたいか』を選手自身に確認し、そのビジョンに沿った指導を行うようにしています。また、女子野球の指導は対面ですが、個別指導はオンラインで行っているため、その点の違いもありますね」

─ 一般企業を経験したのち、再び野球界へ戻られましたが、気持ちの変化はありましたか?

「再び野球に関わることで、日々楽しく仕事ができていると感じています。今後もずっと野球界に携わるかどうかはまだ分かりませんが、今はこの環境を楽しみながら仕事をしています。まずは阪神タイガースWomenとして、二大大会の優勝を目標に掲げています。また、伝統の一戦というわけではないですが、これまで読売ジャイアンツに一度も勝てていないので、勝ちたいという思いも強いですね。自分自身の将来についてはまだ明確なビジョンがありませんが、多くの人に応援してもらえるような活動をしていきたいと考えています」

─ 今後のキャリアについてどのように考えていますか?

「今は目の前の仕事に全力を尽くしていきたいです。どんな形であれ『誰かの役に立ちたい』という気持ちは常に持っています。関わった方々に感謝され、喜んでもらえるような仕事ができればと思っています」