3年連続Bクラスに沈んだカープだが、その戦いの中には確かな光も差し込んでいる。ルーキーながらクローザーに定着した栗林良吏、高卒3年目で遊撃レギュラーを獲得した小園海斗。彼ら“若い力”は、間違いなくこれからのカープを背負っていくはずだ。

今年、一軍のショートに定着した3年目の小園海斗。

◆着実に進む、チームの世代交代

 (前編から続く)チームに活力を与えた若手は、何もルーキーだけではない。野手陣では高卒3年目の〝2000年生まれコンビ〟、小園海斗と林晃汰がともに一軍に定着。チームの将来に明るい光を灯している。

 小園海斗は開幕二軍スタートとなったが、4月22日に今季一軍初出場を果たすと、そこから好調をキープし、気付けば遊撃レギュラーの座を確固たるものとした。定評のあった守備面はもちろん、今季は打撃の確実性が各段にアップ。6月からは3番、シーズン終盤には2番と上位打線を任されるまでに成長を果たした。

 前田智徳以来となる『高卒3年目での打率3割』にはあとヒット一本足りなかったが、シーズンラストに3試合連続猛打賞を放つなど『持ってる男』ぶりも見せつけた。

 その小園と同期入団の林晃汰もまた、シーズン前半から三塁のレギュラー候補として出場を続けた。今季の一軍初出場は小園より約1カ月遅い5月18日だったが、その試合でいきなり2安打を放つと、2日後にはプロ初本塁打をマーク。6月終了時点で打率・362と、未来のスラッガーとして大ブレイクの兆しを見せた。

 夏場には疲れもあったのか調子を落としたが、9月に再び月間打率・301をマークするなど復調し、最終的には打率・266、10本塁打を記録。ちなみに、高卒3年目以内の2ケタ本塁打は堂林翔太以来、チーム9年ぶりの快挙。左打者に限れば、前田智徳以来、29年ぶりだった。

 投手では栗林&森浦のルーキー、野手では小園&林の高卒3年目コンビがそれぞれ躍動した2021年。彼ら4人以外にも、一軍の舞台で躍動した若手は数多い。今季プロ初安打、初本塁打を記録し、一軍で初のスタメンマスクをかぶるなど〝初モノ〟が続いた中村奨成、小園、林と同期で、今季外野の守備にも挑戦した羽月隆太郎、高卒2年目ながら先発ローテに定着し、4勝をあげた玉村昇悟といった『若い力』が台頭している。

 “3連覇の影”を追うのは、もうやめていい。これからは、彼ら『新しい力』が、チームを牽引していくはずだ。