2021年に、広島アスリートマガジンWEBに掲載したカープ選手の独占インタビューを取り上げる「編集部セレクション」。今回は、今シーズン選手会長としてチームを牽引した田中広輔が、2021年ペナントレース開幕前に話したカープへの思いをお届けします。
◆カープに残ると決めたときから考えるのはチームのことばかり
─昨年(2020年)は、右膝手術からの完全復活を目指すと同時に、選手会長として戦ったシーズンでもありました。プレーで貢献する以外に、チームをまとめるという大きな役割があったと思いますが、選手会長としての手応えはどう感じていますか?
「手応えがあったかと言われると、どうでしょうね……正直、手応えは感じていないのですが、自分の思いを言葉にして発信する大切さを身をもって感じた一年になりました。意識して発信するようにしたことで、もっとうまくタイミングをとれたんじゃないか、もっと良い言葉を選べたんじゃないかと感じるようになりました。そういう意味では、個人的に勉強になったことが多い一年でしたね」
─選手会長としてチームを引っ張るうえで、田中選手の前に選手会長を務めた會澤翼選手の存在は心強かったのではないでしょうか?
「會澤さんには昨年はお世話になりっぱなしでした。相談させてもらったことも数多くあります。會澤さんからバトンを渡され、選手会長をやらせてもらって思うのは、チームを引っ張る立場になって、周りを見ることがどれだけ大事で、どれだけ大変なのかをようやく痛感しました。そのことを、若い頃は分かっていませんでしたし、きっと、先輩方に迷惑をかけていたんだろうなと、今になって気付かされました。ただ、そこに気付けたことが僕にとっては成長ですし、選手会長という立場に立たせてもらえなければ分からなかったことがたくさんありました。今年も経験させていただくことで、もっと人として成長できるんじゃないかと思っています」
─昨シーズンオフの11月30日にはFA権を行使せずカープ残留を決められました。記者会見では、決断するまで悩みはあったと話されていましたが、決断したあとはどういう気持ちで過ごしてこられたのでしょうか?
「たしかに決めるまではいろいろと悩みましたが、カープに残る、来年もカープでプレーすると決めたからには、チームのためにという前向きな気持ちしかなかったですね。若い選手も増えてきましたし、チームをどう良くしていこうかという気持ちで頭がいっぱいでした」
※広島アスリートマガジン2021年3月号で行ったインタビューをもとに編集
◆プロフィール
田中広輔 2
■たなか・こうすけ ■1989年7月3日生(32歳)■171cm/84kg
■右投左打/内野手 ■神奈川県出身 ■東海大相模高-東海大-JR東日本-広島(2013年ドラフト3位)