カープで長年リリーフとして活躍してきた、今村猛の引退報道が流れた。

インタビューに応じる、2017年当時の今村猛。

 今村は長崎・清峰高時代、3年春の甲子園では速球を武器に安定した投球を展開し、全国制覇を成し遂げた。その後、2009年ドラフト会議でカープから1位指名を受けて入団。

 プロ2年目に先発として登板機会を得ると、シーズン途中に中継ぎに転向。54試合に登板して一軍に定着した。2012年には69試合に登板し防御率1.89と安定した投球を披露。オフには侍ジャパン入りを果たし、第3回WBC日本代表でも登板。球界を代表するリリーフへと成長した。

 2016年には、勝利の方程式の一角として67試合に登板し、25年ぶりの優勝に大きく貢献。日本シリーズでは全6戦に登板しした。翌2017年にはストッパーの中崎翔太が故障離脱した時期にストッパーを務めて23セーブを記録するなど、2018年に果たしたリーグ3連覇までの3シーズンで178試合に登板し、鉄腕ぶりを発揮した。

 2019年からは一軍での登板数が激減し、昨年はわずか6試合。今季は二軍でチーム2位の36試合に登板するなど、最後まで一軍での登板機会を目指していたが、一軍登板はなかった。プロ12年間で431試合に登板し、21勝30敗36セーブ115ホールド、防御率3.46。リーグ3連覇を支えた鉄腕が、静かにユニホームを脱ぐ。

 ここでは改めて今村がカープで過ごした軌跡を辿るべく、過去の独占インタビューを振り返っていく。今回はブルペンキャプテンを務め、リーグ連覇を果たした2017年シーズン終了直後の言葉をお送りする。

◆本当に強いチームになった手応えを得た

─今季のブルペン陣は非常に良い雰囲気だと中継ぎ投手から声が上がっています。ブルペンキャプテンとしての視点で、それが各投手の好投につながっている部分はあると思いますか?

「それはすごくあると思います。自分たちの出番を待っている間もリラックスして準備ができていますし、そういう面で各投手やりやすさは感じていると思います

 ─今季はセットアッパーだけではなく、抑えも経験されましたが、投げるポジションによって投球面で意識して変化させた事はありましたか?

「特にこれといった変化はありません。むしろどこで投げようとも、やることは一緒ですし、あまり気負わないように考えていました。抑えに指名された時は、ただ投げる順番が変わるだけだと自分に言い聞かせてあくまでも冷静にいるように努めました」

─今季ストッパーを経験して新たな発見などはありましたか?

「これまでもセーブ機会で投げた事ががなかった訳ではありませんが、改めて試合が終わった後の野手やファンの方々が喜んでいる表情が見れた事は良かったと思います。そういう部分は最後で投げた人が唯一見る事ができますからね。僕自身の事で言えば、ストッパーの仕事を終える時にホッとする気持ちを感じようになりました。セットアッパーと違って、自分の投球が終われば『1日を勝利で終える事ができた。無事に勝てたな』と思うようになりました

 ─昨季初めて優勝争いの中で戦った経験が、今季の投球に生きている部分はあると思いますか?

「優勝したチームで1年間通して投げ切る事ができたのは、本当に良い経験になったと思います。どうやったらチームが勝てるかということを、より深く考えるようになりましたし、チームとしても個人としても今までとは違う野球ができるようになったと充実感を得ています」

─今村投手にとって今季の優勝と昨季の優勝の意味合いは異なってくるのでしょうか?

「昨季と今季では同じ優勝にしても若干違うと思います。今季優勝する事で、昨季だけまぐれで優勝したチームではないという証明ができたと思いますし、自分自身本当に強いチームになったんだと手応えを得ています。野手は昨季あまり一軍にいなかった選手も活躍するようになってきましたし、投手陣も昨季とは若干メンバーが異なります。今のカープの強さは一軍の力だけではなく、二軍の力も合わせたものだと思いますし、連覇はカープというチーム全体が成長したからできたのだと思います」