12月15日、「NPB AWARDS 2021」が行われ、セ・リーグの最優秀新人賞(新人王)に栗林良吏が選ばれた。

 栗林はプロ1年目の今季、クローザーに抜擢されると開幕から大車輪の活躍。球団新記録となる開幕から22試合連続無失点、新人最多記録に並ぶ37セーブなど、数々の記録を樹立すると、東京五輪では侍ジャパンのクローザーにも抜擢され、悲願の金メダル獲得に大きく貢献した。今シーズン、救援に失敗したのはわずか1度。驚異のリリーフ成功率を誇るなど、わずか1年足らずで日本を代表する投手へと成長した。

 広島アスリートマガジンでは、ドラフト会議終了後から、4度にわたり、栗林を取材。ここでは、「編集部セレクション」として、カープの守護神に成長した栗林が、プロ1年目に話した言葉を振り返る。

 今回取り上げるのは、東京五輪の野球日本代表に選ばれ、前半戦の振り返りを行なった独占インタビュー。無失点記録が途切れた6月13日のオリックス戦、奪三振への意識、登板前のルーティンなどについて聞いた。(『広島アスリートマガジン』2021年8月号で行なったインタビューをもとにWEB用に編集)

1年間を通してカープの守護神として活躍した栗林良吏。

◆登板前の最後の5球に込められた思い。欠かすことができないルーティン

─6月10日のソフトバンク戦(PayPayドーム)で開幕から22試合連続無失点の球団新記録を達成されました。どんなことを意識して開幕から投げてこられましたか?

「守護神として何よりも意識しているのはチームの勝ちを消さないこと。負けないことを目標にしてきました。そのために永川(勝浩)投手コーチ、横山(竜士)投手コーチにいろいろ相談しながら一つひとつの準備を大事にしてきました。そういった過程の結果、無失点で抑えることができたと思っています」

─6月13日のオリックス戦(京セラドーム大阪)で初登板から続いていた無失点記録が途絶えました。試合後どう気持ちを切り替えられましたか?

「記録が途絶えて落ち込んだというよりも、チームが負けたという結果に落ち込みました。ただ、大学の投手コーチである山内(壮馬)さんが『次回登板で真価が問われる。次が大事』という内容のことを話されている記事を見て、本当にその通りだなと。なので、次の登板を大切に投げようと気持ちを切り替えました」

─開幕からここまで投げてきて、プロでやっていけると手応えを感じた試合を教えてください。

「自信を得た試合はまだありません。ただ、ピンチを迎えても無失点で切り抜けることができたり、三振が欲しい場面で三振を奪えたシーンはいくつかあるので、結果だけ振り返ると良い部分も大きいのかもしれません。ただ、抑えたい一心で臨んだ柳田(悠岐・ソフトバンク)さんとの対戦も、結果的には打たれましたし、ランナーを出したくないところで実績のある打者に打たれることも何度かあったので、そういう意味でもまだ自信をつかんだとは言えないですね」

─ただ、これまでの36登板(8月22日時点)で三振が奪えなかったのはわずか3試合です。三振について意識していることを教えてください。

「シーズン当初、佐々岡(真司)監督が『三振を奪れるから抑えを任せている』というコメントをメディアの前で言われていたので、奪三振は常に意識しています。有利なカウントであれば三振を狙いにいっていますし、そのなかで狙い通り三振を奪れているので、これまではうまくいっているかなと思います。ストレートやフォークを投げた際のデータも溜まってきたので、それを上手に活用して、もっとうまく、もっとスムーズに三振を奪えるようになれたらいいなと思います」

─9回のマウンドに上がるルーティンも確立されてきたのではないかと思います。登板に向けた準備・ルーティンで大切にしていることを教えてください。

「登板前の“最後の5球〟を大切にしています。ストレート、カットボール、カーブ、フォーク、ストレート。この5球で終わるようにしていて、そのルーティンだけは崩さないようにやっているので、それは今後も継続していくつもりです」

─今後の戦いに向けて意気込みをお願いします。

「開幕からここまで、ある程度、チームに馴染むことができましたし、守護神として結果もついてきたので、それを後半戦も続けていけるようにやっていかないといけないと思っています。また、今のポジションを任せてもらっている以上、自分が打たれるとチームに負けがついてしまうので、負けないピッチングを続けていきたいと思います。後半戦もチームの勝利に貢献できるよう頑張りますので、応援よろしくお願いします」