2021年、カープはシーズン終盤に巻き返しを見せたが、3年連続Bクラスとなる4位に終わった。

プロ2年目の今季、東京五輪に出場するなど活躍を見せたが8勝に終わった森下暢仁。

 投手陣に目を向けると九里亜蓮が初の最多勝、ルーキーの栗林良吏が37セーブで新人王に輝くなど、奮闘を見せた選手がいたものの、チーム防御率3.81はリーグ5位に沈んだ。

 ここでは、大野豊氏にカープ先発陣を振り返ってもらった。

◆主軸に明暗。若手は左腕が躍動

 個人について触れていきます。まずは投手キャプテンを務めた大瀬良ですが、開幕前から非常に順調な調整ぶりを見せていました。

 ですが、足の故障で一時離脱したことがチームにも影響しましたよね。最終的に10勝をマークしましたが、やはり投手陣の柱ですし、彼の力からすれば少し寂しい数字ですよね。責任感と気持ちの強さがある投手だけに、来季の奮起を期待したい筆頭です。

 そして昨季新人王の森下暢仁は8勝7敗に終わりました。勝ち星からすると勝ち運に恵まれなかった部分もあります。しかし彼の力量からすれば、もう少し勝てたでしょう。

 また配球を見ていると、明らかなボール球が目立つシーンもありました。ですので、もう少し球数を減らしてバッター勝負。そういう投球を望みたいところです。

 また3本柱で結果を出したのが初の最多勝を獲得した九里亜蓮です。キャンプで投げ込む姿勢、試合での気持ちの入れ方、そういうものは感心させられますし、本当に良く頑張った結果でしょう。その一方で、少しムラがある部分、例えば大量失点シーンですよね。あとは防御率にこだわりを持った、勝てる投手を目指してほしいです。

 今季は多くの若手投手が頑張りましたが、特に床田寛樹、高橋昂也、玉村昇悟の若手左腕投手が存在感を示しました。高橋が5勝、玉村は4勝。彼らについては打線の援護の兼ね合いもあるにせよ、貯金ができる投手になってほしいものです。

 そして床田は二軍から復帰した9月以降に素晴らしい投球を展開していました。ストレートを投げ切るスタイルとなり、持ち味を出せるようになったと見ています。力があるところを見せられたと思いますので、あとは自信とメンタル的な強さをもっと出していければ、先発陣を引っ張っていける存在になれるでしょうね。

 ベテランで言えば3本柱に入っていなければならない存在だった野村祐輔です。今季の成績を受けて立場的に厳しい状況となりました。彼については来年が本当に勝負の年でしょう。もう一度キレと制球力に磨きをかけて頑張ってほしいと思います。