昨シーズン、佐々岡監督2年目となるカープは終盤に追い上げを見せたものの、3年連続Bクラスとなる4位に終わった。攻撃陣を振り返ると小園海斗、林晃汰、宇草孔基など若手野手が出場機会を得た。

4番経験者としてベテラン長野久義も候補となることが予想される。

 そんな中、4番としてチームを牽引した鈴木誠也は、打率.317で二度目の首位打者に輝き、自己最多となる38本塁打を放つなど抜群の存在感を放った。そしてオフにはポスティングシステムを利用してメジャー移籍を表明。その移籍先が注目されている。

 鈴木のメジャー移籍が実現した場合には、空席となる4番を誰が打つのか? が注目されるだろう。ここではヤクルト、カープで活躍したプロ野球解説者の笘篠賢治氏に、4番争いについて語ってもらった。

◆最初の選択肢は新外国人か?

 そして鈴木のメジャー移籍が実現したとして、来季カープで注目されるのが、4番打者を誰が務めるのか?ということになるでしょう。まず、右の長距離砲で鈴木の代わりを見つけるのは大変なことです。

 そう考えると、一番最初の選択肢は新外国人選手がハマることが現状ではベストではないかと思います。新外国人であるライアン・マクブルームは、昨季3Aで32本のホームランを放っており、長打力で期待がかかります。珍しい左投右打という選手であることから、ポジション的には一塁か外野ということになるでしょう。右打者である彼が4番にハマれば、その周囲を固めていきたいところです。

 またドラフトではトヨタ自動車の4番・中村健人、大阪ガスの4番・末包昇大と社会人の右の長距離砲を獲得しました。この指名は鈴木の抜けたことを想定しての補強であることが感じられます。

 ただ『新人をいきなり4番に』というのは今の段階では正直考えづらい部分が多いですね。もちろん、実力があれば、DeNAの牧のように1年目からあれだけ活躍すればシーズン最後に『4番を任せた』というのもありましたが、このパターンは滅多にないことです。

 やはり新人はうまくハマれば4番の周りを固められる、あるいは下位打線でハマるようになってくれれば最高だという見方かと思います。そういう意味では、先ほど述べた新外国人選手がまずは一番でしょう。そして、二番目の選択肢として、現状のカープの誰を4番に据えるかという考え方になってくると思います。

 私個人としての意見ですが、現状の選手で外国人以外に4番を張らせるのであれば、『右バッターで4番』という考えは基本的に排除すべきかと思います。

 現状、右の4番を仮に据えるなら「来年1年間」という位置付けの中で頑張ってもらい、『つなぎの4番』として、つながりの打線をどのようにつくっていくかがポイントになると思います。

 そう考えると長野久義が適任だと思います。打者としての経験値という部分、そして巨人でもカープ移籍後も4番を経験しています。右の4番を据えたいのであれば、まず長野にやってもらいたいと私は思います。

 そうでなければ、左打者の4番になることが予想されます。そうなると、林晃汰を4番に据え、彼を教育していきながら、4番で使い続けるというのも選択肢になってくるのではないかと思います。

 あるいは、完全なつながりを持って攻めていくのであれば、鈴木の後ろを打っていた坂倉将吾を4番に据えるのも選択肢として出てくるでしょう。それは適応能力が非常に重要となってきますが、彼は3番でも、5番でも、クリーンアップならどこでも対応する力を持っていると思います。

 そしてもう1人、今季4番を経験した西川龍馬ですが、もちろん4番に据えることで意識が変わり、より嫌らしいバッティングに変わることも期待できます。しかしながら、西川に関しては適材適所を考えると、別の打順の方が生きるのではないかと思う部分があります。

 現状の右打者を考えると長野、菊池涼介、堂林翔太、ルーキー2選手らがいますが、いずれにしても右打者が打線構成の鍵になると見ています。鈴木が抜けるというのは、ファン目線で考えると、楽しみでもあり、不安でもあります。ですが、来季は4番争いが、良い意味で打線、チームが活性化する要素になれば良いと思っています。