◆新たな主役は誰だ!?若鯉たちの決意表明

 2人の即戦力左腕、社会人を代表する右の長距離砲、将来有望な高卒スラッガーなど、全11選手が、4年ぶりの優勝に向け、生まれ変わりつつあるカープに加わった。昨年末に開催された新入団会見前に行った独占取材をもとに、プロの舞台に飛び込む11選手の熱き思いを届ける。

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【新入団選手連続インタビュー#1】
ドラフト1位・黒原拓未(関西学院大)

ドラフト1位でカープに入団した黒原拓未投手。

◆監督の言葉は、野球人生の一つの指針に

 大学2年時から主力の一人として数々の場数を踏んできた。今春のリーグ戦ではエースとして5勝をあげてMVPを獲得。14季ぶりリーグVの牽引者となった。左腕・黒原拓未の武器は、150キロに迫るストレートと大学から投げ始めた鋭いカットボール。先発でもリリーフでも、どんな場面の登板でも役目を全うするタフさも併せ持つ。22年間現役生活を続けたカープのレジェンド左腕・大野豊氏が身につけた背番号「24」を受け継ぎ、プロ1年目から一軍でのフル回転が期待される。

─1位でカープから名前を呼ばれた時の心境を教えてください。

「繰り上げとはいえ、1位という順位で指名されるとは思っていなかったので、自分の名前が呼ばれた時は本当に驚きました」

─ドラフト前夜は緊張していましたか?

「前日は全く緊張しませんでした。当日もドラフト会議が始まる時間までは、あまり緊張を感じなかったのですが、いざドラフトが始まると徐々に緊張してきました」

─カープというチームにどんな印象を持たれていますか?

「ここ数年は、若い選手が試合に出場する機会が増えているだけに、〝若いチーム〟という印象があります。カープだと、自分の年齢と近い選手と一緒にプレーすることができそうなので、それを考えると、プレーしやすいチームだなと思っています」

─指名が決まった後、監督やチームメートからはどんな言葉をかけられましたか?

「みなさんから祝福の言葉をかけてもらいました。本荘(雅章)監督からは、在学中ことあるごとに『勝てる投手になろう』という話をしていただいていました。監督から意識付けしていただけたおかげで、自分の中で『どういう投手が勝てる投手なんだろう』と常に考えながら取り組んできましたし、カープに入ってからも考え続けていくことになると思います。そういう意味では、監督の言葉は、野球人生の一つの指針になっていますね」

─4年生では素晴らしい成績を残されています。勝てる投手になるため、意識して取り組んできたことを教えてください。

「四球が減り、変化球の精度が向上したことで、投球の幅がグッと広がりました。ただ、まだ満足していません。大学に比べてプロ野球のシーズンは長いので、いろんな課題が出てくると思います。それを克服しないとプロでは生き残っていけないと思っています」

─プロではどんなところをアピールしていきたいですか?
「力強いストレートとカットボールの組み合わせが一番の強みであり武器だと思っているので、そこをアピールしていきたいです」

─黒原投手のカットボールは、各方面から高い評価を受けていました。カットボールに手応えを感じてきたのはいつ頃からですか?

「4年になる直前だったと思います。以前はカットボールをあまり投げていなかったのですが、2020年11月の左肘手術後から、本格的に投げるようになりました。もともと真っ直ぐに近い球は投げやすかったので、割とスムーズに投げられるようになりました」

─ストレート、スライダー、チェンジアップが配球の軸になってきますか?

「そうですね。まずはこの3球種でアピールしていきたいと思います」

─プロを意識され始めたのはいつですか?

「小さい頃からの夢でしたが、本格的にプロ野球選手を目指そうと思ったのは高校の頃です。この時期、球速がグンと上がったんです。大学へは、4年間でレベルを上げて、プロの世界の扉に手をかけるところまで行けたらいいなと思い進学しました」

─高校で伸びた球速は、大学4年間でもスピードが上がったのでしょうか?

「入学当初は144キロ前後でしたが、トレーニングを重ねたことで4年後には、最速152キロが出るようになりました」

─球速を上げるために意識しているトレーニングはありますか?

「筋力を上げることと柔軟性です。体は硬いほうなので、柔軟性アップは今の自分に必要な課題だと思っています。やるべきトレーニングをしっかりとこなしていくことで、まだまだ球速は伸びると思っています」

─カープでは先発とリリーフ、どちらを目指していきたいですか?

「今の段階では特にこだわりはありません。とにかくチームとファンのみなさんのために、必要とされるところで投げていこうと、それだけ考えています。試合で使ってもらえるのであれば、ポジションはどこでも構わないと思っています」

─カープには若い投手がたくさんいます。入団後、話を聞いてみたい投手はいますか?

「同じ左腕の床田(寛樹)投手には、技術面をはじめ、いろいろな話を聞いてみたいと思います。また、昨年入団した左腕の森浦(大輔)投手も、今年1年間ずっと一軍で投げられているので、1年間戦い抜くために必要なことを聞いてみたいです」

─智弁和歌山高の後輩、林晃汰選手とは今でも仲がいいそうですね。

「高校時代もよく話をしていましたし、仲は良かったですね。ドラフト指名後に林から『おめでとうございます』とメッセージが届いたのですが、そこには『対戦できなくて残念です』という言葉も添えてありました(笑)」

─では対戦してみたい打者はいますか?

「阪神の佐藤(輝明)選手とヤクルトの村上(宗隆)選手です。村上選手とは高校時代に対戦した経験がありますが、とにかく体が大きくて打席に入った時の圧がすごかったです。彼らに追いつけるように頑張ります」

─これまで広島に来たことはありますか?

「行ったことがないので初めて行くことになります。カープファンは広島の街への愛が深く、とにかく熱いイメージがあります。そのぶん、期待もかけていただいているということだと思うので結果で応えていきたいです」

─プロ1年目の目標を教えてください。

「まずは開幕を一軍で迎えること。そして1年間一軍で戦い抜き、シーズンが終わった時に新人王などのタイトルが狙える成績を残せればいいなと思っています」

 

●黒原拓未(くろはら・たくみ)#24  
■1999年11月29日生(22歳)■173cm/77kg ■左投左打/投手 ■和歌山県出身 ■智弁和歌山高-関西学院大