2022年シーズン、カープは佐々岡真司監督3年目となる。昨季4位に終わったカープはチーム打率こそリーグトップ(.264)を記録したものの、チーム防御率はリーグ5位の3.81に沈んだ。

ストッパーに抜擢され37セーブをマークし、新人王に輝いた栗林良吏。

 そんな中、ドラフト1位で入団した即戦力ルーキーの栗林良吏がストッパーに抜擢されると、37セーブを記録するなど大活躍を見せた。ここでは、大野豊氏が栗林の話題を中心にカープ投手陣に触れていく。

◆長く活躍するために、油断せずオフを過ごすべし

 オフの話題として、エースである大瀬良大地が選手会長に就任することになりました。これまでは長年野手が選手会長を務めてきましたが、投手では2006年の黒田博樹以来だそうですね。

 投手とはいえ、選手会長に任命されるということは、やはり周囲からその実力を認められるだけではなく、人間的にも頼れることができる部分も大きな要因でしょうね。そういう意味でも大瀬良の場合は強い責任感と自覚を持っている選手だけに、どのようにチームをまとめていくのか期待されます。

 もちろん、選手会長というのはチームのリーダーですから、重圧や負担となる部分もあるでしょう。しかし、大瀬良は2021年に投手キャプテンを務めていましたし、年齢も選手として脂の乗り切った30歳です。

 選手会長という立場を与えられたことで、大瀬良自身もこれまでとは違う意識で野球に取り組むことができるでしょうね。2021年に二桁勝利をマークしたとはいえ悔しいシーズンを送っただけに、そういう思いも力に変えながら、その相乗効果を大瀬良には期待したいですし、若手からすれば彼の行動、言動というのは良いお手本となっています。私としても適任だと思います。

 最後に大きな話題として、栗林良吏が新人王に輝きました。カープとしては2020年の森下暢仁に次いで2年連続新人王ということでカープファンにとっては喜ばしいニュースとなりました。

 1年目に活躍し、翌年懸念されるのが、いわゆる2年目のジンクスというものです。2021年の栗林は初のプロ生活となり、1年間ストッパーとして重圧のかかる場面を投げ抜いてきましたし、東京五輪でも金メダル獲得に貢献するなど、あらゆる場面を全力で戦ってきました。また活躍したことで多忙なオフとなることが予想されます。

 そう考えると目に見えない疲れというのも相当あるように思われます。先日、たまたま彼と話をする機会があったのですが、私は「忙しくなると思うけど、オフの間はしっかりと体をケアしておいたほうがいい」とアドバイスをさせてもらいました。

 あくまで私の経験上の事になりますが、活躍したオフほど、とにかく体のケアに時間を費やしました。なぜかと言うと、キャンプを迎えた時点で出遅れるということを防ぐためです。

 やはり出だしが遅くなると、どうしてもシーズンに影響してしまうケースが出てきてしまうからです。また、活躍したことで当然相手チームも研究をしてきます。そういう部分を踏まえて考えると、1年目と同じことをやって同じように活躍できるという保証はないわけですから。

 そういう意味でも、栗林にはしっかりと体をつくってもらって、キャンプ、オープン戦と投げられる状態にしてもらいたいですね。そして、まずは元々持っているストレート、フォーク、カットボールにさらに磨きをかけてほしいです。

 もちろん1年目の成績は素晴らしいものでしたし、自信を持って良いでしょう。しかし、1年目のような結果を残すことが2年目もできるだろうという気持ちでいると、落とし穴が待っています。彼はこれから長く活躍を期待したい投手ですし、油断せずにオフを過ごしてほしいと思います。