サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。2021年シーズン、サンフレッチェ広島は12勝13分13敗でリーグ11位に終わった。残留争いこそ回避したものの、課題の得点力不足は拭えないままだった。そんななか、今季につながる光も見えたシーズン最終盤を振り返る。

4年ぶりにサンフレッチェ広島に復帰。ユーティリティーな才能を発揮する塩谷司。

◆ベテラン勢の奮闘のなか、最後まで響いた『得点力不足』

 前回のコラム以降3試合を戦い、サンフレッチェ広島の2021年シーズンが幕を下ろしました。今回は、ラスト3試合を振り返っていきます。

 まずは11月20日の清水戦(●0ー1)。「絶対に残留する」という清水の気持ちに負けてしまった部分もありますが、決定的なチャンスで決めきれないという2021年シーズンの課題が浮き彫りになった試合でした。

 失点を許したピンチの場面以外は、自分たちの試合ができていただけに勝てるはずの試合でしたね。それなのに勝点が取れない。相手GKのスーパーセーブもありましたが、やはり最後の決めきる力が足りませんでした。

 ホーム最終戦となった11月27日のFC東京戦(●1ー2)は、勝利をつかみとることはできませんでしたが、塩谷司のファーサイドからのゴールが印象に残りました。

 塩谷は今季も守備的なポジションに入ると思いますが、セットプレーやミドルレンジからのシュートなど、彼がいることで攻撃の厚みが増します。ミヒャエル・スキッベ新監督のもと、3バックになるか4バックになるかはまだ分かりませんが、どこのポジションもできるので、チーム内での競争も激しくなるでしょう。過密日程になったときにも、塩谷のようなユーティリティーな存在はチームにとって大きな力になるはずです。

 またこの試合では、J通算400試合を達成した柴﨑晃誠のセレモニーも行われました。柴﨑の高い技術は、どの試合でも効いています。

 昨シーズンは、青山敏弘、柴﨑、林卓人というベテラン勢がチームの軸となり、引っ張ってくれました。みんな30代後半ですが、チームへの貢献度を考えると、本当に大したものだと思います。

 しかし、そんな風にベテランを立ててチームをまとめたのは、前監督・城福浩さんの力。

 厳しい状況の中で、若手を育てながら戦い抜いてくれた城福さんはサンフレッチェの功労者だと思いますね。