昨季は小園、林のプロ3年目コンビをはじめ、若手野手が躍動した一方で、30歳前後の選手は期待外れに終わった印象が強かった。ここでは、OBの笘篠賢治氏に、カープ本来の野球を展開するうえで奮起が期待される、プロ8年目の野間について話してもらった。
※取材は2022年1月上旬。

昨季は故障に泣いた野間。今季は心機一転、野手キャプテンとして、再びレギュラーポジション奪取が期待される。(写真は2022年の日南キャンプで撮影)

◆機動力野球展開の強化には野間の存在は不可欠

 昨季カープ野手陣を振り返ると若手の台頭が目立ったシーズンでした。その一方で中堅、ベテラン選手の役割や奮起も気になるポイントです。今回はその点に触れていきます。

 まずは今シーズンでプロ8年目、29歳になる野間峻祥についてです。

 昨季は一言でいうとケガをしてしまったことが悔やまれます。東京五輪の中断期間以降、打撃好調で「さぁ、ここから」というところで故障をしてしまいました。首脳陣からの信用を得ようというチャンスで、若手選手にチャンスを与える結果になってしまいました。そう考えると、今季は開幕前から立場的に安泰とはいきません。

 当然レギュラーをつかむためには故障は『避けなければいけない』ものです。ただ、野間としても、過去に犯してしまったミス等もありますし、「必死で取り組む姿を監督やコーチに見せなければいけない」という気負いもあったのかもしれません。

 ですが、過剰に意識しすぎる必要はないと思います。意識をし過ぎるあまり、思っている以上のことをやろうとしてしまうと、やはり故障にもつながってしまいがちになります。まずは『自分のやれることをやる』という考え方が大切だと思います。

 カープ伝統の『機動力野球』を復活させるという意味でも、野間の存在は大きなものになるはずです。先の塁を狙う走塁はできていると思います。

 ただ盗塁に関しては、チームの方針もあるとは思うので一概には言えませんが「自分の判断で次の塁を狙ってもいい」という状況になったとき、『走る勇気と根拠』を、しっかりと頭に入れながらプレーして欲しいと思います。

 そして野手キャプテンにも指名されました。これは本人にとっては良い影響を与えるでしょう。キャプテンに指名されるということは、それだけ期待しているという『監督からのメッセージ』とも捉えられます。そこは意気に感じて欲しいです。「立場を与えると人は変わる」とも言われますからね。

 ただ「キャプテンだから」と必要以上のプレッシャーを感じることはありません。そういう部分は割り切り、野間世代みんなが「俺たちがチームの中心としてやっていくんだ」という雰囲気になってくれれば良いですよね。29歳なんて、一番良い時期ですから、これを機に定位置をつかんでほしいものです。