昨季は小園、林のプロ3年目コンビをはじめ、若手野手が躍動した一方で、30歳前後の選手は期待外れに終わった印象が強かった。ここでは、OBの笘篠賢治氏がカープ本来の野球を展開するうえで、奮起が期待されるプロ13年目の堂林について話してもらった。
※取材は2022年1月上旬。

2020年に復活を印象づける活躍を見せた堂林だったが、昨季は一転、打撃で結果を残せなかった。プロ13年目を迎える今季、再び定位置を争う。(写真は2022年日南キャンプ)

◆貴重な右打者である堂林はシンプルな打撃で勝負せよ

 昨季カープ野手陣を振り返ると若手の台頭が目立ったシーズンでした。その一方で中堅、ベテラン選手の役割や奮起も気になるポイントです。

 その一人にあげられるのが、今年プロ13年目で31歳を迎える堂林翔太です。2020年シーズンは『復活』『覚醒』といわれる好成績を残しましたが、一転して昨シーズンは低調な成績で終わってしまいました。

 開幕戦からスタメン起用されて良いスタートを切ったわけですが、なかなかその後が続きませんでした。レギュラーを完全なものにしている立場ではないわけですから、開幕後の1カ月はアピールをしなければならない時期でした。

 今後もまだまだ『アピール』を続けていかなければならないでしょう。年数は全く関係ありませんし、13年目であろうが、初心を忘れない気持ちを持ってやっていかなければならないでしょうね。

 彼の一番の魅力は打撃ですが、広角に打ったヒットの延長がホームランになっているのであって、もともとはホームランバッタータイプではありません。変な焦りから「今年は長打力を上げなければ……」などと思う必要はないと思います。まずは来た球を素直に、強く弾き返すということを、もう一度シンプルに考えて欲しいです。

 そういう面では今季は本塁打や長打を一度頭から離して考えて欲しいです。彼はもともと強い打球を打てるわけですから。あとはチャンスの場面で、得意な高めの球を狙いに行くこと。ランナーが三塁にいるときに、犠牲フライで確実に点が取れるようなバッティングをしていくことだと思います。

 一流と呼ばれている選手の思考は「いかに割り切れるか、引き摺らないか」です。そして割り切るために必要なのは根拠です。

 堂林は性格的にも真面目なところがあります。もちろん良い事ですが「あいつ性格が図太く変わったな」と言われるくらいの変化があっても良いと思います。野球選手はグラウンドとオフとで二重人格くらい違っててもいいんです。堂林のようなタイプの選手がグラウンドで戦闘モードに入るというのは、チーム全体にも良い影響を与えるはずです。