4年ぶりのリーグ優勝に向けて、春季キャンプに取り組むカープ。OBの笘篠賢治氏に、2月16日に行われたDeNA戦との練習試合を見て感じた、期待の若手選手の成長について聞いた。

春季キャンプで守備練習に取り組む中村健人。

◆中村健人の本塁打に見た対応力の高さ

 一軍は沖縄に移動して練習試合も始まってきました。野手陣は、まだ打順を固めていく段階ではなく、戦力の見極めになっていると思うので、若い選手たちがどれだけアピールできるかに注目したいですね。

 そんな中、16日のDeNA戦ではルーキーの中村健人が、ディアスからレフトスタンドへ本塁打を放ちました。同じルーキーの末包昇大と、長打力の面で比較されていますが、中村健に関しては、打つときにきっちりと壁が残っているので変化球をさばけている印象です。日南キャンプの時から感じていたことですが、打つまでの形がいいので、それを試合でもしっかりと実践できています。

 1年目なのでプロでの実績はゼロ。良いところをみせようという意気込みは当然あるでしょうが、結果が出てこないと不安にもなります。そのぶん、シート打撃や紅白戦、練習試合、オープン戦などの実戦で結果を出していくと、その不安がどんどん自信に変わっていくものです。

 中村健は打つだけでなく肩もいいですし、足もそこそこある選手です。今のカープは投手陣がしっかりと整備されてきているので、打つだけではレギュラーを奪うのは難しい状況です。そのぶん、中村健は、守備も走塁も期待できるだけに、このままの勢いで、レギュラー争いに加わってほしいですね。

 DeNA戦では、同じ“中村”の中村奨成も3安打を放ち、負けじとアピールしました。ツボにきたら一発を打てる力は持っていますが、今季はレフトスタンドに引っ張る打撃というよりも、センター方向にコンパクトに打っている印象です。

 中村奨のタイプ的に、打つ確率を上げて安打を増やすことが出場機会につながっていくと思うので、昨年の坂倉将吾のように打撃で結果を残して、本職以外でも使いたくなるような選手を目指してもらいたいですね。

 外野の守備練習でも良い取り組み方をしています。打球を追いかけるスピードはある選手なので、一歩目の判断を磨き、どんどん上達していってほしいところです。

 また、高卒ルーキーの田村俊介も一軍に合流してすぐの紅白戦で強烈なインパクトを残しました。「嶋重宣のよう」「前田智徳のよう」といった声もありますし、いずれにしろ、前評判通りの素晴らしい打撃を見せてくれました。どのようなカリキュラムで育成していくのかはまだわかりませんが、非常に楽しみな存在です。