甲府で42試合中41試合に出場。私生活では第一子が誕生し、父になった。「これが広島での最後のチャンスだと思うと、逆に吹っ切れた」この言葉に、これまでより逞しくなった野津田の成長がにじみ出ている。正ボランチの座を狙う、覚悟と挑戦のシーズンが始まる。(全4回のうち3回目・取材は2月上旬)

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野津田岳人は2016年に新潟へ期限付き移籍。2017年には清水へと活躍の場を移し、仙台を経て、2019年に広島に復帰。2021年には再び広島を離れ、甲府に期限付き移籍となるが、2022年、再び広島に復帰した。

◆再び戻ってきた広島で、期待を越える活躍を見せたい

―甲府での1年間で、自信をつけた部分も大きいのではないですか?

「そうですね。今はすごく自信があります。これまで経験の少なかった2ボランチでシーズンを通してプレーできたことは大きかったですね。しっかりとスペースのケアをすることや、守備やバランスを見るところなど、多くの学びがありました」

―ボランチとしてパスを供給するうえで注目している選手は?

「藤井(智也)です。紅白戦で本当に足が速いと感じました。ちょっと長くなったかなというボールにも追いつくので驚きましたね。一緒にプレーしていて楽しいです。あと、鮎川(峻)や永井(龍)は裏への抜け出しなどが上手いので、タイミングを見逃さずに連携を取っていきたいと思います。森島(司)や浅野(雄也)も足元がしっかりとしていて、常に前を向いていいポジションをとってくれるので助かります。今はとにかくいろいろな選手とプレーできることがうれしくて仕方ないです」

―再び背番号7を背負うことになりましたが、以前7番をつけていた森﨑浩司アンバサダーと話はされましたか?

「また7番を背負わせてもらえることになりました、と報告したら、『岳らしく楽しんでほしい』という声をかけてもらいました。この言葉で肩が軽くなったというか、自分らしくやっていこうと思うことができて、すごくありがたかったです。今までは、成長した姿を見せないといけないという思いや、期待に応えたいという気持ちが大きくて、肩に力が入りすぎていたのかもしれません。今は〝ここで結果を出さないと広島でプレーできるチャンスはもうこないかもしれない〟と感じている分、吹っ切れた気持ちで臨めています。これは今までになかった感覚で、とにかく楽しんでサッカーをしようという気持ちが強いです。きっと今シーズンは、良い意味で、力を抜いてプレーできると思います」

―野津田選手は広島きっての生え抜きなだけに期待が大きいです。

「期待やプレッシャーが大きい中でもやっていかないといけないのがプロですから、期待を超えるような活躍をしないといけないと思っています。でも、それが重荷になりすぎないように、自分らしくプレーすることも大事です。期限付き移籍で広島を離れた期間があるからこそ、今の自分があります。リラックスして挑む気持ちも忘れずに、成長した姿を見せていきたいと思います。また、広島でのプレーを通して、サッカーが楽しいと思ってくれる子ども達が一人でも増えたらいいですね」

《プロフィール》
野津田岳人
1994年6月6日生 広島県出身/MF
●2021年成績
ヴァンフォーレ甲府/41試合・2得点 ※記録はリーグ戦のみ。