いよいよ開幕したプロ野球ペナントレース。今回は、開幕一軍入りを果たし、一軍での活躍が期待されるドラ1左腕の黒原拓未の話を中心に、新人投手について、カープOBの大野豊氏に語ってもらった。

大野豊氏が身につけていた背番号24を受け継いだドラフト1位左腕・黒原。1年目はリリーフとしての起用が濃厚だ。

◆期待のかかる即戦力投手。今年は全てが貴重な経験

 春季キャンプで一軍に抜擢された新人投手3人について触れていきたいと思います。

 ドラフト2位で入団し、先発ローテーション候補として名前の挙がっていた森翔平ですが、登板機会を得たオープン戦では彼本来の投球ができなかった印象があります。もう少し安定感のある投球ができるのではないかと期待していたのですが、今回の二軍落ちを機に、もう一度、課題を持って鍛え直してもらいたいですね。

 ドラフト1位の黒原拓未は、制球力はそこまで高くありませんが、ボール気味の高めの直球でも打者の空振りを奪える勢いのあるタイプの投手ですから、多少球が暴れながらも、その中でプロの打者にどう対応し、どのようにアウトをとっていくかがポイントになってくるでしょう。スライダーなど球速の遅い球がしっかりと投げ切れるようになると、投球の幅も広がるのではないでしょうか。

 キャンプでは、投球フォームについていくつか声を掛けさせてもらいました。黒原はキャッチボールではしっかりと脚を上げて投げているのですが、ブルペンに入るとクイック気味の投げ方になっていました。「いつからその投げ方なの?」と聞くと「大学4年からです」と返ってきました。走者のあるなしに関わらず、全てクイックというのは投手としては少し勿体ないと感じたので「個人的には脚を上げた方がいいと思うよ」という話をさせてもらいました。

 こういった経験も含め、1年目の今年は、全てが貴重な経験になるでしょうから、課題や失敗をどう乗り越えて成長していくかを見守っていきたいと思います。

 最後にドラフト5位の松本竜也。投げている姿を見ると、中継ぎでいけるのではないかという印象があります。大きく崩れるタイプの投手ではないでしょうから、順調にいけば、黒原と共に開幕一軍に入ってくるでしょうね。