3日目を迎え、日に日に熱を帯びるカープの春季キャンプ。4年ぶりのAクラス、その先にあるリーグ優勝を目指し、3年目を迎える佐々岡真司監督がどのようなチームを作り上げていくかに注目が集まる。
野手陣を見渡すと、鈴木誠也が抜けた右翼、一塁と三塁など、今季はレギュラーが決まっていないポジションが数多い。そんな中、唯一決まっているのが、9年連続でゴールデングラブ賞を受賞している菊池涼介が守るセカンドだ。ただ、不測の事態に備え、菊池に代わる選手を育てておくのはチームマネジメントにおいては必須事項と言える。
その“ポスト菊池”の一番手として期待されているのが、4年目を迎える羽月隆太郎だ。プロ2年目の2020年に一軍デビューを飾ると、昨季は前年を上回る39試合に出場。プロ初本塁打、初盗塁を記録するなど、成長の跡を見せた。
今年の春季キャンプでは、菊池から直々にアドバイスを受けるなど、精力的に汗を流している。ここではその羽月のインタビューを再収録する。時間は遡り、2020年秋。一軍デビューしたシーズン、羽月が一軍の試合で得たもの、そして菊池から受けたアドバイスとは。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
◆一軍の舞台を経験したことで足りないものが見つかった。
─2020年シーズンは、8月7日から約1カ月間、一軍でプレーされました。羽月選手にとって、この期間はどんなものでしたか?
「自分の足りない部分が見つかった期間だったと思います。もう一回、足りなかった部分を二軍で克服して、次に一軍に上がったときは絶対にチームの勝利に貢献して、ずっと一軍にいたいと強く思うようになりました」
─一軍でのプレーの中で得た収穫はありましたか?
「走攻守すべてにおいて、足りないというか、足りなかった部分を見つけられたことが自分にとってプラスでした。それが一番の収穫だったと思います」
─一軍でプレーした中で一番印象に残ったシーンを教えてください。
「やっぱり、一軍に昇格してすぐに使ってもらった試合(8月7日・阪神戦(マツダスタジアム))で決めたセーフティースクイズですね。プロに入ってまだ2年目ですけど、初めてのことでしたし、サインが出て一発でしっかり決めることができて良かったと思っています」
─8月7日に初の一軍昇格を果たし、いきなりスタメン出場を果たしました。改めてどんな気持ちでしたか?
「もうすごく緊張していましたね。でも、これまでにやってきたことしか出ないというのは分かっていました。先輩たちからも『思い切っていけ』とアドバイスしていただいていたので、とにかく思い切っていこうと思っていました」
─あの試合では、2安打3打点の活躍でお立ち台にも立ちました。
「そうですね、まさか自分が立つなんて思っていなかったですし、本当にありがたかったです」
─2020年は、一軍ではスタメンが5試合あり、すべてセカンドでの出場でした。菊池涼介選手からアドバイスなどはあったのですか?
「いろいろアドバイスをもらいましたけど、菊池さんの守備というのは絶対に真似ができないので、どちらかといえば守備における考え方を真似するように考えていました。守備に関しては昨年から玉木コーチ(朋孝。現・二軍内野守備・走塁コーチ)にずっと指導していただいているので、そこは徹底してやっていきたいと思っています」
─一軍では4安打という数字でした。二軍降格後、打撃面ではどのような点に意識を置いて練習されていますか?
「まず野手と野手の間に打球を打つことを意識するようにしています。あとは体がピッチャー方向に早く開かない、見せないようにスイングすることを意識しながら練習し、打席に臨んでいます」
─走塁、守備面についてはどのような点を意識しているのでしょうか?
「盗塁に関しては、普通にスタートを切っていては一軍ではアウトになってしまうと痛感したので、自分主導で投手が動き出すということを意識しています。自分が先に動いて、投手が投げたという状況であればセーフになる自信はあるので、そこを目指して練習しています。守備については、玉木コーチから教わったことなんですが、『投手が打ち取った打球を確実にアウトにする』ということです。それを心に置いて、練習から一球一球意識するようにしています」
─一軍での経験を経て、二軍で練習、試合に臨む中で以前よりも意識は変わりましたか?
「そうですね、一軍経験をさせていただいたことで、全てにおいて意識がガラっと変わったと思います」
※広島アスリートマガジン2020年10月号で行ったインタビューをもとに再編集。