熾烈なFWサバイバルから開幕戦スタメンを勝ち取った鮎川峻。サンフレOBの佐藤寿人氏も「楽しみなストライカー候補」として彼の名を挙げる。小柄だが一瞬のスピードで裏を取り、ゴールへの嗅覚も鋭い。偉大なストライカーの背中を追いかける20歳の挑戦を届ける。(全4回のうち1回目・取材は3月上旬)

2022年シーズンは開幕戦で1トップに入り、果敢にゴールを狙うプレーでサポーターを魅了。3月12日には、今季、自身初得点をあげるなど、着実にストライカーとしての頭角を現している。

◆今の一番の課題は『決め切る力』

―2月19日の開幕戦ではスタメンを勝ち取りました。スタメン出場が決まったときの心境を教えてください。

「キャンプ終盤には、スタメン組で紅白戦に出してもらえるようになっていました。キャンプ中に結果を出し続けたことを評価してもらえたのだなと思い、シンプルにうれしかったです」

―トレーニングマッチ5試合では7得点をあげられました。

「昨シーズンはケガの影響もあってなかなか結果を残せなかったので、今シーズンはキャンプから結果を出すことを目標に掲げていました。とにかく〝自分が点を取るんだ〟という思いが強かったですね。得点数だけ見れば調子が良いと感じますが、その分、チャンスも数多く与えてもらいました。そう考えると、本当はもっと点を取れたんじゃないかとも思いますし、だからこそ、内容としてはまだまだ課題があると思っています」

―具体的にはどのような課題ですか?

「〝チャンスで決め切れなかった〟というシーンがたくさんありました。僕個人の『決め切る力』が足りないというのが、今の一番の課題です」

―決定力不足については、チームとしても大きな課題となっています。

「チームとしてどのような攻撃を目指すのかをはっきりさせないといけませんし、さらに一人ひとりが『決め切る力』を磨く必要もあると思います。試合中も攻撃が単調になってしまうことがあるので、波状攻撃で繰り返し相手を攻め続けるような試合運びができれば、必ず得点を積み重ねていけると思っています」

―2月19日、鳥栖との開幕戦を振り返ってみていかがですか?

「開幕戦特有の難しさがあり、さらに雪でピッチコンディションも悪く、自分としてもチームとしても、守りに入ってしまいました。チームのために動こうという思いが強くなりすぎて、自分のしたい攻撃的なプレーが二の次になってしまったと感じています」

―今季はキャンプの段階から、前線からの守備をテーマに取り組んできました。

「鳥栖は、GKを含めてビルドアップが上手なチームでした。GKが上がってきて4バックに参加する分、どうしても自分たちが一人少ない状況での守備を強いられてしまい、その対応が難しかったですね。ただ、鳥栖のサッカーが特徴的で難しいとしても、勝負の世界でそれは言い訳になりません。自分たちも前線と後ろとでなかなかタイミングが合わず上手くつながらない部分があったので、そういった点を修正していく必要があると思いました」(続く)

《プロフィール》
鮎川峻(あゆかわ しゅん)
2001年9月15日生 愛知県出身/FW
●2021年成績
サンフレッチェ広島/19試合・1得点
※記録はリーグ戦のみ。