球団記録となる開幕6連勝をマークした今季のカープ。しかし、まだまだ安心はできない。過去10年の成績を見返して分かった「優勝&Aクラス入り」の条件は、開幕直後の数字ではなく、「4月を貯金生活で終えることができるか」だった。

開幕から攻守にわたり活躍を続ける上本崇司。10年目野手の躍動は開幕ダッシュを決めた要因の一つとなっている。

◆シーズン成績のカギを握る条件とは・・

 鈴木誠也のメジャー移籍もなんのその。

 2022年のカープは球団記録に並ぶ開幕6連勝と、最高のスタートを切った。しかし、油断は禁物だ。なぜなら同じく開幕6連勝をマークした1993年、カープは最終的にリーグ6位に終わっているからだ。

 シーズンはまだ始まったばかり。カギを握るのは、開幕から続くこの勢いをどれだけ持続できるかに他ならない。スタートダッシュをうまく決めることができればチームに一体感と自信も生まれ、シーズンを優位に戦うことができる。

 それが、4年ぶりの優勝、Aクラスにもつながるはずだ。

 開幕直後の成績とシーズン成績の相関関係がどれほどのものか。

 以下はカープの過去10年間の開幕10試合と、4月終了時点での勝敗、さらにはシーズンの最終順位になる。

2012年 10試合:6勝3敗1分/4月終了時:11勝13敗2分(リーグ4位)
2013年 10試合:4勝5敗1分/4月終了時:12勝14敗1分(リーグ3位)
2014年 10試合:7勝3敗/4月終了時:18勝9敗(リーグ3位)
2015年 10試合:2勝8敗/4月終了時:9勝16敗(リーグ4位)
2016年 10試合:5勝5敗/4月終了時:16勝12敗(リーグ優勝)
2017年 10試合:8勝1敗1分/4月終了時:16勝10敗1分(リーグ優勝)
2018年 10試合:6勝4敗/4月終了時:17勝10敗(リーグ優勝)
2019年 10試合:3勝7敗/4月終了時:12勝15敗(リーグ4位)
2020年 10試合:5勝4敗1分(リーグ5位)※
2021年 10試合:6勝3敗1分/4月終了時:13勝15敗2分(リーグ4位)
※2020年はコロナ禍で6月開幕

 改めて数字を見返すと、開幕10試合時点での勝敗とシーズン順位の相関関係はあまり強くないことが分かる。2012年は6勝3敗1分ながら最終的にはリーグ4位に沈んでおり、同様に2020年、2021年も10試合終了時点では勝ち越していながら最終的にはBクラスに沈んでいる。

 しかし、「4月終了時点」の勝敗を見るとどうだろう。コロナ禍で6月開幕だった2020年を除いた9年間のうち、4月終了時点で貯金があったのは2014年、2016~2018年の4度あり、その4年間のシーズン最終成績は優勝3度を含めてすべてAクラス。

 逆に4月終了時点で勝率が5割を切っていた5年間のうち、Aクラス入りを果たしたのは1度だけだ。

 開幕直後のロケットスタートよりも、重要なのはその勢いを最低でも1カ月間持続できるかが、シーズン成績のカギを握ると言える。

 現在は打線も好調だが、打線は水物。「鈴木誠也の穴」を痛感するときは必ず来る。

 幸い、今季のカープは大瀬良大地、九里亜蓮、森下暢仁という先発三本柱が固定されており、打線が落ち込んでも投手力でカバーできるだけのコマは揃っている。

 ロケットスタートを決めた今季、Aクラス入り、優勝を目指すためには、まず「鬼門」である4月を貯金生活で終えること。

 その先に、4年ぶりの頂点が必ず見えてくる――。