開幕から先発ローテの一角として活躍を続ける床田寛樹

 開幕からカープが好調を維持している。

 不動の4番・鈴木誠也が抜けて“苦戦”も予想されたが、開幕から13試合を終えた時点での成績は8勝4敗1分のセ・リーグ2位。

 開幕6連勝とロケットスタートを決めた直後に中日に3連敗を喫したが、巨人との“首位攻防戦”を2勝1敗と勝ち越し。まだ開幕直後とはいえ、ずるずると負けを重ねない“粘り”の戦いは今季の飛躍を期待させるに十分と言えるだろう。

 打線は鈴木誠也の穴を感じさせない破壊力を見せ、チーム打率はリーグトップ。

 一方でチーム本塁打3はリーグワーストと「長打力不足」はやや気になるところではあるが、コロナ禍で来日が遅れていた新外国人・マクブルームが開幕直後に一軍に合流しするなど「攻撃面」でもある程度のメドが立ったといえる。

 ただ、開幕からの好調を支える最大の要因といえば、やはり投手陣の奮闘になるだろう。特に大瀬良大地、九里亜蓮、森下暢仁の三本柱に、床田寛樹を加えた“新・四本柱”の安定感はピカイチだ。

 ここまでの12試合中、四本柱が先発した試合は各2試合ずつの計8試合。4投手はそのすべてでクオリティ・スタート(OS=6回以上を投げて自責点3以下)をマークしている。

 クローザーの栗林良吏が開幕からやや不安定なだけに、先発投手陣の安定感は「心強い」の一言に尽きる。

 なかでも床田の存在が大きい。

プロ5年目の昨季は9月にプロ初完封をマークして同月の月間MVPに輝くなど飛躍のキッカケをつかみ、今季はキャンプ、オープン戦と結果を残して開幕ローテーションの座をつかみ取った。

 シーズン初登板となった3月30日の阪神戦では7回1失点で今季初勝利。4月6日の巨人戦では勝ちこそ付かなかったが7回無失点と、ここまで2試合ながら14イニングを投げて1点しか許していない。特に左打者に対してはめっぽう強く、ここまで22打数で被安打2、被打率はわずか.091だ。平均140キロ台後半の直球はもちろん、持ち球のパームは一部で“魔球”と呼ばれるなど話題となっている。

 年間を通してローテーションを守った経験と実績を持つ三本柱に、床田が加わったカープの先発ローテの安定感は、現時点ではリーグトップと言っていいだろう。

 床田自身も2019年には先発として7勝を挙げた経験を持つが、開幕からの投球を見る限り、今季は自身初の規定投球回到達や2ケタ勝利も期待できる。

 開幕前から不安視されてきた「鈴木誠也の穴」。

 それを埋めるのはどうしても同じ「打者」と考えられがちだが、打線のマイナスを投手陣のプラスで補うことも十分できる。

 昨季5勝、87回1/3を投げた床田が勝ち星やイニング数を上乗せできれば、当然チームはAクラス、優勝に近づく。

開幕直後の成績だけで「太鼓判」を押すことはさすがにできないが、今の投球をコンスタントに続けることができれば、2022年のカープが大きく飛躍するのは間違いない。