サンフレッチェ広島OB・吉田安孝氏がチームに対する愛情と情熱をぶつける全力コラム。今回は、シーズン初勝利以降、快進撃が続くサンフレッチェの戦いを振り返り、チーム躍進の理由を語ってもらった。※取材は4月上旬。

2022年4月2日にJ初得点を挙げて以来、スタメン起用の機会が増えている満田誠。

◆課題を次に生かし進化を続ける勝ち点以上の手応えは充分!

 4月2日の湘南戦(○0ー1)で、ようやく今シーズン初勝利をつかみ取ることができました! スキッベ監督が目指すサッカーがなかなか結果に結びついていなかった分、このタイミングで勝ち点3を上げることができたのは非常に大きい。もし負けていたら、たとえやっているサッカーに間違いはないと思っていても、そのまま負のスパイラルに陥ってしまった可能性もありました。

 開幕戦からここまでの試合を振り返ると、3月12日の東京戦(●2ー1)、19日の川崎戦(●0—2)と、なかなか勝つことができませんでした。しかし、やるべきことはできていました。

 川崎戦も、負けてしまったとはいえ、あの川崎相手に自分たちのサッカーをやりきったという意味では、非常に良い内容でした。だからこそ、良い部分と悪い部分、そして課題が明確になった試合でもありました。そして決定力不足を補うために練習してきたことが、湘南戦でついに実を結んだのです。

 負けた試合も含めて、チームのやってきたこと一つひとつが成長するための材料になりました。着実に積み重ねてきたことが勝利に結びつき、本当に良かったと思います。

 そして4月6日の横浜戦(○2ー0)。

 横浜にほとんど何もさせない、パーフェクトな試合でした。

 昨シーズンまでは、攻められるとちょっと引いて、ブロックを作って、カギをかけて……、ボールが取れたらつないで前に行く……というスタイルのサッカーでしたが、今シーズンは全く違う。とにかく前から攻めにいけていますし、一つひとつのプレーの強度が高いです。

 追い越すような走り、プレッシング、選手同士の接触、かわされても立ち上がって追いすがっていく。

 一つひとつの局面を全力で、恐れずにやり続けることができています。だからこそ、相手チームにとっては非常に難しい展開になる。横浜からすると「こんなはずでは」と、まさに予想外の展開で、どうすることもできない試合だったのではないかと思います。

 ただ、試合中、常にボールをキープできているのかというと、実はそうでもありません。ボール保持率を見ると決して高くはなく、相手チームと同じか、あるいはやや劣っているのが実情です。

 それでも常に攻め続けているように見えるのは、ボールを持っていないときの攻撃的な動きや、見ていて手に力が入るようなプレーが続いているからこそ。プレーする側としてはハードですし、攻める分ピンチになるリスクもある戦術ではありますが、恐れずに戦い続けることが、勝利のためには非常に大切なことだと思います。